ポケモンカードのイラストレーターとしても知られる「さいとうなおき」さんが、自身のXにて行き過ぎた「サイン待ち」行為について苦言を呈しています。

 投稿によると、ここ一年おそらく組織的に、イベント終わりや移動時間を狙って待ち伏せし、5~6人に取り囲まれる事が多発。

 対策を講じてはいるものの、ひどい時には車で数十分にわたり尾行される、イベント運営者に対して身分を偽って電話をかけ、さいとうさんのスケジュールを確認しようとするなど、行動が徐々にエスカレート。ついには身の危険を感じるほどにまでなっているとのことです。

 有名人のサインはファンにとって大変貴重なものですが、その機会の多くは厚意によって行われるもの。相手に迷惑を掛けることは絶対あってはならないことなのに、あまりに常軌を逸したとも言える行動が相次いだことから、今回の投稿が行われました。

 一連の問題を受け、さいとうさんはイベントの仕事を見合わせることを検討しているほか、状況がおちつくまでしばらくの間、いかなる場合であっても個人的にサインを行わないことを表明。

 「関係のない方には本当に申し訳なく、心苦しく思いますが、ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします」とコメントしています。

イラストレーター・さいとうなおきさんが行き過ぎた「サイン待ち」行為に苦言 状況が落ち着くまでしばらくサインは断る方針を表明

■ 数十万円で取引されるさいとうさんのサイン 転売屋の仕業か?

 さいとうさんのサインを巡っては、過去にも転売が問題視されていた背景があります。

 さいとうさんは全てのサインに相手の名前を入れているものの、フリマサイトやオークションサイトを覗いてみると、色紙などに書いた直筆サインは数万円、また、直筆サイン入りのポケモンカードに至っては、数十万円で取引されることも。

 中には名前が入っていないものも散見されますが、これは何らかの手段で消した、あるいは偽造品という、非常に悪質な出品。

 編集部の取材に対し、さいとうさんは「ぼくは全部のサインにお名前を入れているので、ないものがあれば何らかの手段でそこだけ消したもの、あるいは偽造なんだと思います」と説明しています。

 筆者個人としては、サインは目の前で書いてもらうからこそ価値があるのでは?と思いますし、ましてや他人の名前が書かれたサインを手に入れて、果たしてそれで満足なのか?と疑問ですが、事実、取引が成立していることからも、そうした事情は気にならないのでしょう。それだけさいとうさんが有名、ということもあるのでしょうが……。

 このように高額転売の対象となることも、サインを求める行為がエスカレートしていった原因なのかもしれません。しかしながら、待ち伏せや取り囲み、尾行していいという理由にはなりません。ここまで来るともはやストーカー行為。犯罪です。さすがに度が過ぎていると言えるでしょう。

■ 漫画家やしろあずきさんも注意喚起

 これを受け、さいとうさんと親交のある漫画家「やしろあずき」さんも、プレゼントされた三角コーンの中に盗聴器のようなものが仕掛けられていたことがある、という自身の経験を描いた漫画を投稿し、注意喚起しています。

やしろあずきさんの漫画

 アルバイトの方と共に、ファンから送られてきた三角コーンを磨いていたところ、重ねた時に異変を感じ、内側を覗くと小型の受信機のようなものが貼り付けられているのを発見したのだそう。実際には盗聴器やGPSといったものの類ではなかったそうですが、もしも本物だったならば……プライベートどころではありません。

 昨今SNSの普及により、有名人とファンの垣根は確実に低くなっています。良心的なファンにとっては、距離が近くなることでより親しみやすくなることでしょうが、一方でこうした危険な思想を持つ人、集団に目を付けられやすいという一面も持ち合わせています。

 イラストレーター、漫画家に関わらず、さまざまな発信活動を行っている方は、ファンを名乗る人の中に、このように危険を及ぼす人がいるかもしれない……ということを念頭に置いて、身辺状況の注意を怠らないようにする必要があると言えそうです。

※初出時、やしろさんの三角コーンに「盗聴器が貼り付けられている」と記載していましたが、実際は「盗聴器のようなもの」でした。訂正してお詫びします。

<記事化協力>
さいとう なおきさん(@_NaokiSaito
やしろあずきさん(@yashi09

(山口弘剛)