アメリカの航空機メーカー、パイパー・エアクラフトは2月6日(現地時間)、中国の民間航空学校から合計152機もの練習機を受注したと発表しました。この機数は、1937年に設立されたパイパー・エアクラフトにとって、同社史上最多のものです。

 練習機を発注したのは、中国・四川省の泛美(ファンメイ)航空学校。四川泛美教育グループに属する、中国では大手の民間航空学校です。

 受注の内訳は、単発機のアーチャーTXが100機、双発のセミノールが50機、そして双発機のセネカと単発機のM350が各1機、計152機です。どれもGARMINのG1000 NXi統合計器システムを採用し、グラスコクピット化された最新のモデル。これらは7年がかりで引き渡され、最初の1機は今年3月にも引渡し予定であることが明らかにされています。

アーチャーの計器パネル((c)-Piper-Aircraft-Inc.)

アーチャーの計器パネル((c)-Piper-Aircraft-Inc.)

パイパー・セミノール((c)-Piper-Aircraft-Inc.)

パイパー・セミノール((c)-Piper-Aircraft-Inc.)

 現在中国では民間航空の市場が拡大しており、パイロットが不足しています。また、航空会社の旅客機だけでなく、自家用機や事業用航空機など、いわゆる「ゼネラル・アビエーション」の分野も拡大しており、パイロット資格を取ろうという人が増える傾向にあります。各地で民間の航空学校が設立されており、今回パイパーに練習機を大量発注した泛美航空学校もそのひとつ。一気に150機以上もの練習機を調達するほど、学生が集まりつつあることが判ります。

 パイパーのサイモン・カルデコットCEOは「この歴史的な大量発注により、泛美航空学校は増大する航空会社のパイロット需要に応える、素晴らしい養成課程を構築することができます。世界中で不足しているパイロットの養成に両者が関われることは、非常に光栄なことです」と、この契約を発表する記者会見で述べています。

 初の国産ジェット旅客機C919が順調に受注を伸ばしているなど、中国は世界の航空界において着々と大きな地位を築いています。パイロットなど航空人の育成においても、さらに重要な存在になりつつあることが、この大量発注からもうかがえますね。

 Image:(c) Piper Aircraft Inc.

(咲村珠樹)