アメリカのバイデン大統領は2021年2月10日(現地時間)、アメリカ国防総省で、中国の問題に対処する専門のタスクフォースを立ち上げたことを発表しました。これは、インド太平洋地域で勢力を拡大する中国が提起する数々の問題に対し、適した対応方針を決定するため、国防総省に設置するものです。

 アメリカ国防総省を訪問したバイデン大統領は、職員に対するスピーチでロイド・オースティン国防長官がイラク多国籍軍団の司令官だった頃、長男の故ボー・バイデン氏が陸軍の一員としてイラクに派遣されていたことを紹介。長男のジャック氏がベトナム戦争に従軍したジミー・カーター元大統領退任以来、40年ぶりに「我が子を戦場に送った大統領」となったと語りました。

アメリカ国防総省(Image:DoD)

 オースティン国防長官とは、そのイラク派遣部隊司令官時代からの付き合いだといい、指揮官としてのリーダーシップだけでなく、駐イラク大使らとも緊密に連携し、各国との調整にあたった「外交官」としての能力についても称賛。その国防長官から、インド太平洋地域で勢力を強めつつある中国に対応するため、専門のタスクフォース立ち上げについて説明を受けたといいます。

中国人民解放軍の儀じょう隊(Image:U.S.Navy)

 対中国タスクフォースは、国防総省内各部門のエキスパートと民間人で構成。今後数か月のうちに、中国問題に関する判断材料となる様々な要素をオースティン国防長官に提出するとしています。

 対中国の施策については国防総省だけでなく、連邦政府全体や議会での超党派による取り組みが必要だとバイデン大統領は言及。日本など同盟国・パートナーとの強力な連携も不可欠だと語っています。

中国人民解放軍海軍の兵士(Image:U.S.Navy)

 対中国タスクフォースは、中国の動きに対抗し、アメリカが勝利することを確実にする、とバイデン大統領は発言。期待を寄せました。

アメリカ国防総省(Image:DoD)

 これを受け、アメリカ国防総省の報道官は2月11日の定例会見で、対中国タスクフォースの任務について説明。タスクフォースはエリー・ラトナー氏をトップとする15名で構成され、まずは状況分析として、4か月で調査結果を国防長官に提出するとしました。

 また、中国はインド太平洋地域において、第二次世界大戦終結以来続いてきた国際秩序を乱す方向で影響力を強めていると表現。この挑戦に対し、タスクフォースは国防総省内に設置されるものの、ホワイトハウスをはじめ連邦政府の各省庁とも一体となって活動することになると発表しています。

<出典・引用>
ホワイトハウス バイデン大統領のスピーチ
アメリカ国防総省 ニュースリリース
Image:アメリカ国防総省/U.S.Navy/ホワイトハウス

(咲村珠樹)