2024年7月からいよいよ発行開始となる新日本銀行券(紙幣)。その様式(図柄等)が定められたことが、12月15日発行の官報にて発表されました。

 肖像画が一新されるだけでなく、偽造防止技術のレベルが高まるなど、大きな関心が寄せられていますが、その一方で注意したいのが、これに便乗した詐欺行為。財務省が注意を呼び掛けています。

■ 「現行の日本銀行券が使えなくなる」などの詐欺行為

 今回注意喚起が行われたのは「『現行の日本銀行券が使えなくなる』などの詐欺行為(振り込め詐欺など)にご注意ください」というもの。

 多くの方がご存じの通り、日本国内で発行された紙幣は、「法令に基づく特別な措置」がとられない限り通用力が維持されています。

 日本銀行のホームページによると、過去に「法令に基づく特別な措置」がとられたのは、1927年(昭和2年)、1946年(昭和21年)、1953年(昭和28年)の3回だけ。「銀行券(53種類)のうち31種類については通用力が失われ、現在は銀行券として使えません」と記されていますが、近年のものに関しては多くが「通用力」を維持しています。

 よって、新紙幣が出る・出たからといって「現行の日本銀行券が使えなくなる」ということはまずありえません。

■ 詐欺師が狙うのは経験の浅い若者や情報収集力が衰えた世代

 今回の注意喚起で財務省は分かりやすい例をあげているものの、詐欺の手口として当然この限りではありません。「古いお札を振り込めば、新しいお札と交換する」「過去の紙幣を回収している」といった内容も予想されます。

 また、財務省や金融庁、大手銀行の名を語ったフィッシングメールが出回る可能性も。今回の発表通り、直近で現在の紙幣が使えなくなることはまずありえませんので、こうした連絡は全て詐欺目的であると判断して間違いないでしょう。

 この手の詐欺に引っかかる人は、そう多くありません。一般的に広く「ありえない」と知られている内容だからです。ただし、どんな常識であっても「少数派でも知らない人がいる」ことも事実。

 狙われるのは、過去の情報を知らない若い世代や、認知力や情報収集能力が衰えた老人、そして日本での在住歴が浅い外国人だからです。

 この手の詐欺情報が出回ると「情弱すぎるww」と被害者をバカにする人は少なくありませんが、狙われるのは上記であげたような方たちです。つまり誰でも身の回りに一人はいそうな人たち。

 実のところ、詐欺に関してお伝えする記事は、「被害者候補」に向けては書いていません。恐らく普段から関心をもっていない、または情報に接する機会がない環境にある人たちだからです。そこで情報に敏感な人たちにお読みいただき、そのことを該当するであろう家族や周りに伝えてもらう。これをお読みの貴方に拡散役を託すために書いています。

 他人の不幸は愉快かもしれません。でも、もしも被害者が自分の回りの人たちだったら?「情弱」だと切り捨てるのではなく、情報収集能力にたけた人たちは万一を考え家族やお年寄り、子どもたちに話して聞かせる機会にしてみてください。全ての詐欺被害は防げなくても、身近な誰か一人は守れるはずです。

 一万円に渋沢栄一、五千円に樋口一葉、千円札に北里柴三郎が描かれた新紙幣の発行は、2024年7月3日から。新紙幣に両替をしたい場合は、各金融機関の窓口で両替してもらうことが最も確実です。

<参考・引用>
日本銀行についてQ&A「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?
財務省公式Xアカウント(@MOF_Japan
財務省HP「新様式の日本銀行券の発行について

(山口弘剛)