東京・六本木ヒルズの森美術館で開催中の『宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』。この会場で人気の高い『流星刀』を『ファイナルファンタジー』シリーズなどのキャラクターデザインを手掛けたイラストレーター・天野喜孝さんが擬人化し、描き下ろしたビジュアルが11月23日(水・祝)より森美術館内スペースで特別公開されることになりました。

【関連:2015年には天野喜孝さんの原画がAmazonに出品されたことも…特別価格で2億円】

(天野喜孝『流星刀』 2016年 アクリル、紙 850×600mm (C)AMANO Yoshitaka Courtesy Mizuma art Gallery )

(天野喜孝『流星刀』 2016年 アクリル、紙 850×600mm (C)AMANO Yoshitaka Courtesy Mizuma art Gallery )

 『流星刀』は、隕石の中でも成分に鉄を多く含む隕鉄を材料に鍛えあげた日本刀です。東京農業大学の創設者であり、明治政府の逓信大臣、文部大臣、外務大臣など要職を歴任した榎本武揚の依頼により、1890(明治23)年に富山県で発見された隕石『白萩隕鉄1号』から、刀工の岡吉国宗が1898(明治31)年に製作したもので、森美術館で展示されているのは、そのうちの長刀1振(東京農業大学図書館所蔵)。榎本武揚により『流星刀』と称され、この製作の経緯を榎本は『流星刀記事』という論文にまとめています。同時に製作された長刀と短刀1振りずつは、当時の皇太子(のちの大正天皇)に献上されています。

 地球上の鋼とは成分が違うため、鍛造にも非常に苦労が伴い、製作した国宗は神社に祈願するほどだったといいます。また、その地肌は独特の輝きをたたえているのも特徴。

 流星刀の擬人化によせて、天野喜孝さんはコンセプトとして
「遠い宇宙から飛来し、その姿を美しい刃に変えた流星刀。未知なる輝きは封印を解かれ、その秘めた力が今、現れる。この刀は何と戦い、何を斬るのだろうか」というコメントを寄せています。

(岡吉国宗『流星刀 1898年 隕鉄 刃長 68.6cm 反り 1.5cm 所蔵:東 京農業大学図書館 撮影:木奥恵三 )

(岡吉国宗『流星刀 1898年 隕鉄 刃長 68.6cm 反り 1.5cm 所蔵:東 京農業大学図書館 撮影:木奥恵三 )

 流星刀に合わせ、新たにその擬人化ビジュアルが展示される『宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』。東京・六本木ヒルズの森美術館で2017年1月9日(月・祝)まで開催されます。

(文:咲村珠樹)