「特撮映像館」、今回は雨宮慶太監督の代表作『ゼイラム』です。圧倒的な強さと残酷さを体現したようなゼイラムに女賞金稼ぎのイリアが挑むという基本ストーリーは鉄板もの。さらには蛍雪次朗が加わり内容に深みをもたせています。

雨宮慶太の原作+監督での初劇場公開作品ということである。


いろいろな意味でこの作品を原点としてその後の特撮映画があるような気がするし、とくにコスチュームやクリーチャーの造形に関していえば影響を受けている作品やスタッフは多いのではないだろうか。

プロローグからストーリーのはじまるあたりでコンピューター画像が積極的に映し出されているのだが、いま見るとやはりこういう画像は古くさく感じてしまう。たぶんいま作られている作品でもそうなのだと思うが、その時点での最新技術的な画面を作ってみても数年後には古くなってしまうのは否めない。むしろいまはできないがこんな画面になるかもしれないという発想で作った方がいいような気がする。たとえば単純なCG画像よりは実写合成した方がそれらしかったりするのではないだろうか(この「それらしい」という点で単純なCGを採用しているのかもしれないが)。

本作では宇宙の賞金稼ぎであるイリアと相棒のボブが、地球に侵入したゼイラムを確保するにあたり「ゾーン」という閉鎖空間を作り、そこに誘導するが、地球人の男ふたりがゾーンに入ってしまう。巻き込まれ型ではあるが、「歩いていたらいきなりゾーン」ではないところは計算されている。またいかにも荒唐無稽なゼイラムという存在と生活感がにじみ出る蛍雪次朗演じる神谷の対比も面白い。

映画冒頭でゼイラムの圧倒的な強さを見せているので、イリアとの格闘でも簡単には終わらないと予感させてはいるものの、何度となく「まだ終わらない」と思わせる演出もいい。

それにしてもこの作品、特撮好きな人のあいだでは有名だが一般的にはどうなのだろう。内容的にはさきほども触れた神谷の生活感といい、一般の大人の鑑賞にも堪える作品だと思うのだが…。91年当時だと「特撮」というだけで一般の観客にアピールできなかったのかもしれない。

また本作はアニメ版が制作されたほか、続編『ゼイラム2』も公開されている。

監督/雨宮慶太
キャスト/森山祐子、蛍雪次朗、井田州彦、吉田瑞穂、ほか。
1991年/97分/日本

(文:猫目ユウ)