ダスキンヘルスレントが、2022年に親世代と子世代を対象に「親のいま」に関する親子2世代の意識調査を実施。その結果をポスター化して展示する「いま、親のいまを知ろう」ポスター展を、9月7日~10日まで二子玉川 蔦屋家電で開催しています。

 開催初日には、メディア向けに「親子で向き合う介護レポート」の報告会も実施されました。

■ 介護経験が無い人ほど介護のイメージをネガティブに捉えている

 介護用品や福祉用具などのレンタルや販売を行うダスキンヘルスレント。現在、「#いま親のいまを知ろう」をコミュニケーションワードに、いつか直面する介護への備えとして、今から準備することの大切さを紹介するプロジェクトを推進しています。

 報告会では、株式会社ダスキンヘルスレント事業部事業部長の草野茂樹さんが登壇し、2022年の「いま、親のいまを知ろう」プロジェクトを振り返り、今後の展開などについて説明しました。

株式会社ダスキンヘルスレント事業部事業部長の草野茂樹さんが登壇

 2022年は「親子で試したい9のチェックリスト」や「老いに向き合う親子コミュニケーションのコツ『さしすせそ』」などを提案。

 「いま、親のいまを知ろう。」質問シートの企画では、ヘルスレントのスタッフも参加して、自分の親に「いま、私と一緒にしたいことは?」「いま、困っていることは?」など実際に質問したりしました。

 2023年は親子の対話を促すツールとして、特設サイトにデジタルメッセージカードを公開。「ありがとう」の想いをLINEやメールで素敵なイラストと一緒に伝えることができます。

2023年は親子の対話を促すツールとして、特設サイトにデジタルメッセージカードを公開

 さらに活動の一環として行われた、意識調査の結果は「親子で向き合う介護レポート2023」として発行。草野さんは、この中の介護経験が無い人ほど介護のイメージをネガティブに捉えているという結果に触れ、ヘルスレントの事業を通じて介護や老後の「お困りごと」を解決する手助けをしていきたいと語りました。

■ 介護経験の有無でイメージに差

 続いて株式会社ダスキンヘルスレント事業部営業企画室室長の坂本記史さんが登壇。「親子で向き合う介護レポート2023」の調査結果を紹介しました。

 今回の調査は60代~80代の親世代1000人と20代~50代の子世代1000人の計2000人を対象に行ったそうです。

株式会社ダスキンヘルスレント事業部営業企画室室長の坂本記史さんが登壇

 なお、事前調査では、3万人を対象に実施され、介護経験の有無について質問。介護経験ありと答えた人は21.5%。なしと答えた人は78.5%でした。男性と女性とも60代・70代・80代が多い結果になっていますが、男性70代の24.5%に対して女性70代は41.6%など、男女間で差が出る結果となっています。

 坂本さんは、今回の「親子で向き合う介護レポート2023」での調査結果のポイントは大きく分けて4つだといいます。

「親子で向き合う介護レポート2023」での調査結果のポイントは大きく分けて4つ

 1つ目は、介護経験の有無により、介護のイメージに違いがあるということ。一般的な介護のイメージの1位は「精神的な負担が大きい」で70.8%。2位は64.3%で「肉体的な負担が大きい」など、ネガティブなイメージが強い結果となっています。

 介護経験がある人と無い人を比較すると、介護経験がある人は無い人に比べて、「親孝行」の項目では経験なしが23.5%に対して経験ありは40.6%と17.1%も差が。

 「恩返し」の項目も経験なしが14.1%、経験ありが30.1%と16%も差があり、介護経験がある人は無い人よりもポジティブなイメージを持っている人が多いようです。

 次の注目ポイントは、親世代と子世代で「望む介護方法」に違いがあるという点。ここでは親世代には「どのような方法で介護してもらいたいか」、子世代には「どのような方法で介護したいか」を聞いています。

 「外部施設・行政サービスを利用した介護」については、親世代84.5%、子世代82.2%とどちらも8割以上が望んでいます。

 しかし、「家族・親族による介護」は子世代が56.7%と半数以上が望むのに対して、親世代は26.0%という結果に。親と子の暮らし方についても、「子どもは親の暮らしをサポートすべきだと思う」と答えた子世代は66.7%で、親世代の45.3%と比べると21.4%も高くなっています。

 子どもは「家族でなんとかしなければ!」と考えますが、親は「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちが強いことが分かります。

■ 「介護」の話は親子でもできない

 3つ目は、親世代・子世代ともに将来の話やお金の話はできても、「介護」の話はなかなかできないという点。親世代も子世代も「終活」については6割以上の人が話したことがあると回答しています。

 ただし、話した内容について聞いてみると、お墓については56.8%、お金(現金や証券などの金融資産)については55.4%と半数以上が話し合っているのに、老後の世話(介護)については32.2%。やはり、介護の話はしづらいようです。

「介護」の話は親子でもできない

 最後は「家族による介護」についての考え方に男女でズレがあるという点。「家族が介護をすることは家族愛や親孝行の表れである」という項目に、親世代の男性で「そう思う」と答えた人が60.4%。それに対して親世代の女性は47.4%と、13%も低い結果に。子世代も女性の方が低くなっています。

 「家族に介護してもらえる方がうれしい」でも、その差は顕著にあらわれています。親世代の男性は63.8%が「そう思う」と回答したのに対し、親世代の女性は35.8%と非常に低い結果に。

■ 介護は「専業」でなければ難しい

 「家族による介護」についての考え方に男女間でズレはあるものの、一致しているものもあります。

 それは「外部サービスに頼らず家族のみで介護をするのは、専業主婦/専業主夫でなければ難しい」、「自分に介護が必要になった場合に備えて、自分で金銭面等の準備をしておくべきだ」という考えです。

介護は「専業」でなければ難しい

 「外部サービスに頼らず家族のみで介護をするのは、専業主婦/専業主夫でなければ難しい」については8割以上、「自分に介護が必要になった場合に備えて、自分で金銭面等の準備をしておくべきだ」に関しては約9割が、親世代も子世代も男性も女性も「そう思う」と回答しています。

 家族のみの介護は「専業」でなければ難しく、介護に備えて金銭面で準備をすることが大切ということは世代も性別も同じ認識でした。

■ 介護サービスや補助道具は積極的に頼るべき

 さらに「外部の介護サービスを積極的に頼るべきだと思う」についても、世代や性別関係なく約9割が「頼るべき」と同じ意見。ほとんどの人が外部の介護サービスを積極的に利用すべきと感じていることが分かります。

 坂本さんが最後に取り上げたのが、「介護を遅らせる観点から、杖やシルバーカーなど早めに使う方がよい」と「体が動くうちは極力、介護・福祉用具は極力使わない方がよい」という項目。

介護サービスや補助道具は積極的に頼るべき

 杖やシルバーカーの使用については81.2%が「早めに使うべき」と回答しているのに対して、50.4%の人が「体が動くうちは極力、介護・福祉用具は極力使わない」と答えています。

 坂本さんは、「杖などの補助道具を積極的に使用していくことで転倒リスクを下げながら無理なく運動を続けることが大切である」と訴えていました。

■ 「いま、親のいまを知ろう」ポスター展を見学

 報告会の後は、「いま、親のいまを知ろう」ポスター展の見学会が行われました。ここでは合計2000人に「親のいま」について調査した結果がポスターとして展示されています。

「いま、親のいまを知ろう」ポスター展

合計2000人に「親のいま」について調査した結果がポスターとして展示

 記者が一番印象に残ったのは、「待ち合わせ場所にいる母の小ささにしばらく声がかけられなかった」というコピーが書かれたポスター。コロナ禍で3年以上、地元に帰省できず、久しぶりに実家に帰った時にたった3年にもかかわらず両親が小さくなったように感じました。

「待ち合わせ場所にいる母の小ささにしばらく声がかけられなかった」というコピーが書かれたポスター

 この他にも、誰もが感じるような気持ちをあらわしたポスターが飾られています。開催日時は9月7日~10 日の11時~19時30分まで。「二子玉川 蔦屋家電」の2階にあるE-roomで開催しています。

「二子玉川 蔦屋家電」の2階にあるE-roomで開催

取材協力:株式会社ダスキン

(取材・撮影:佐藤圭亮)