電動バイクで争われるレース「MotoE World Cup」2021年シーズンに、大久保光選手が日本人として初めてフル参戦しています。実は大久保選手、過去に「おたくま経済新聞」の記事にて紹介したこともある、オタクなレーサー(オタクレーサー)としても有名。開幕前の3月下旬に、テストの様子とシーズンの抱負をうかがいました。

 大久保光選手は2014年のロードレース世界選手権、MotoGP日本グランプリのMoto3クラスでワイルドカード(開催地のみのスポット参戦枠)で、藤島康介さんの漫画作品「ああっ女神さまっ」とタイアップした痛バイクでレースに参戦した経験の持ち主。それ以外でも森薫さんの漫画「乙嫁語り」に登場するアミル(第一の乙嫁)のコスプレ衣装を弊社「おたくま経済新聞」で取り上げた際、撮影した写真を提供してくれるなど、浅からぬご縁があるのです。

 久々の再会ということもあり、インタビューはこれまでを振り返るところから。

――ご無沙汰しておりました。まずは簡単に、ベルダンディの痛バイクでレースに参戦して以降のことについて、大久保選手ご自身から紹介をお願いします。2016年から、スーパースポーツ世界選手権(4ストローク2・3・4気筒エンジンの市販車を改造したマシンで競われるロードレースの世界選手権シリーズ)に参加されていましたね。

大久保選手「はい。2015年の暮れに世界選手権参戦、っていう話をいただいて、当時スーパースポーツ選手権に日本人ライダーが参戦していなくて、僕が日本人としては6年ぶりの参戦になったんです。日本人が6年参加していないと色々勝手も違いますし、苦労もありましたけれども2020年シーズンまでスーパースポーツ選手権に参戦していました。2年ホンダ(CBR600RR)に乗って、2年カワサキ(ZX-6R)……このカワサキの2年目がシリーズランキング5位とベストのリザルトですね」

■ アジア人初のMotoE参戦

――今年、2021年は新たに電動バイクのMotoEに参戦するということですが、参戦のきっかけは?

大久保選手「実は2021年も、2020年に在籍していたイギリスのチーム(Dynavolt Honda)と契約していたんですけれども、新型コロナウイルス禍で日本人の参戦が難しい、という事態になってしまって……。チーム自体もプライベーターなもので、ビザの取得が難しいということもあって。そういった時にMotoE、MotoGPのMotoEクラスの話を僕の友人からいただいて」

――MotoGPのMoto2クラスに2020年シーズン、Red Bull KTM Ajo KALEXから参戦されていた長島哲太選手ですね?

大久保選手「はい。彼から話をいただいて、元々MotoEは今後出ないといけないな、参戦したいなと思っていたレースだったので、ちょうどいいタイミングだと思ってMotoEに切り替えて。チームとの交渉は基本自分自身でして、2月にようやく合意したという感じです。電気バイクというのは、今後すごく大事かなと思っているので」

――そうですね。特にヨーロッパでは2030年代に向けて、内燃機関を使った自動車の新車販売ができなくなるということもあって、モビリティの電動化というのには関心が高まっていると思います。

大久保選手「まだMotoEというレースが開催されるようになって今年(2021年)で3年目ということもあって、アジア人がまだ出ていなかったりとか、それに先駆けて参戦して、色々経験することを通して若い子たちに『そっちの道もあるよ』というのを示せればいいな、という気持ちもありました」

――今回フィンランドのAjoから参戦ということになりますが、3月初旬にあったスペインのヘレス・サーキットでのテストなどを通じて、チームの雰囲気などはどのように感じましたか?

大久保選手「実はまだ代表のアジョさん(元GPライダー)とはまだ会っていなくて。ちょうど3月のテストの時はヘレスじゃなくて、同時にポルトガルのポルティマオ(アウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェ)で行われていたMoto2・Moto3のテストの方に行かれていたので、毎日連絡は取り合っていたんですが直接対面してはいないんですよ。チームの雰囲気はとても良くて、さすがトップチーム(2020年はMoto2で長島選手とマルティン選手で3勝、Moto3でフェルナンデス選手が2勝)、プロフェッショナルだなという動きをスタッフからしてもらえるんで、僕も気持ちよくテストできました」

■ MotoEマシンの印象は?

――実際にMotoEのマシン、ワンメイクなので全チーム共通となるイタリア製のエネルジカ・エゴ・コルサ(Enargica Ego Corsa)に乗ってみていかがでしたか?

大久保選手「そうですね……やはり電気バイクで、最初に感じたのはアクセルを開けた時のフィーリングが全然違うことですね。開けた時の加速の仕方がエンジンと違って、クイックです。モーター特有の、ラジコンとかを思い浮かべてもらえると分かると思うんですが、いきなり全開、フルパワーになるというのが、今まで乗ってきたエンジンのバイクと違うと感じた点です。それと、ギアチェンジしないというのも」

――電気自動車がそうですが、やはり低回転から大きなトルクが出せるモーターの出力特性、といったところはバイクも同様なんですね。

大久保選手「あとは、バイクの重さは重いですね。250kgあるんで(排気量1000ccのMotoGPマシンの最低重量が157kgなので約1.6倍)。ただ、バランスはしっかりしてるんで、乗ってて250kgの重さは感じないんですけども、ブレーキングが止まり難かったりとか、ハンドリングが重かったりとか、そういう時には重さを感じますね」

――S字ですとか、シケインでマシンを切り返す時などで重さを感じる、という形なんですね。そのほかには?

大久保選手「搭載できるバッテリーが小さい分、レースの距離が短いので、常に全開で走れるというのと、その分ブレーキの負担は大きいという感じがします。あと、思ったよりエンジンブレーキは効きましたね。アクセルを戻すとモーターの抵抗で引っ張られる感じは、エンジンと似ていると思いました。4ストロークのバイクまではいきませんけど、2ストロークのバイクぐらいはあるんじゃないかな、と思っています」

――ブレーキングがきついということは、やはりフロントへの負担が大きくなってしまうんでしょうか?

大久保選手「そうですね。フロントの負担は大きいですし、それに合わせてタイヤ……ミシュランのワンメイクなんですけど、大きいフロントタイヤを用意してくれるなどの対策がされているので、そこまで違和感はないですね」

――FIMのアナウンスでは、MotoEのマシンは馬力的な面でいうとMoto2と同じくらい、ということのようですが、大久保選手が実際にライディングした感覚で、トップスピードなどはどうですか?

大久保選手「トップスピードは車重もあるんで、馬力……『馬力』っていうのかは分からないですけど、その割にはスピード出てないな、と感じることはありますが、Moto3よりは全然速いですね。ただ車重の重たさで、コーナーリングが難しいというのはあります。エンジンやモーターだけで比べれば同じくらいでしょうが、バイクってそれだけで性能が決まるわけではないので、総合的に見るとヘレスでのラップタイムではMoto3よりも遅くなります。ただ、サーキットのトラックレイアウトにも左右されるので、ストレートが長いコース、コーナーでの切り返しが少ないコースではMotoEの方が速いと思います。ヘレスは、特に後半セクションは切り返しばかりで、ストレートが短いレイアウトなので」

■ MotoEのレースはわずか7周程度のスーパースプリント!騒音も出ない静かなレース

――先ほど「レースの距離が短い」というお話をされました。サーキットのコース長によって前後するとは思いますが、1レースにおける周回数というのはどれくらいなんでしょうか?

大久保選手「だいたい7周ぐらい(開幕戦のヘレスでは8周)ですね。だからすごく短いんですよ」

――ほんとにスーパースプリントですね!

大久保選手「予選も、時間で区切るんではなく『E-Pole』っていって1周のアタックなんですよ。昔のレースでいうところの『スーパーポール』や鈴鹿の『トップ10トライアル』みたいな感じです」

――タイヤを温める……とかもなく、いきなりドーン!とアタックラップですか……モーターですから、エンジンやミッションの暖気が必要ない分、アリなのかもしれませんね。

大久保選手「それと、すごく静かなんでピットインする際、音を鳴らす必要があるんです。60km/hのピット制限スイッチと連動しているんですけど、最初『なんでこんな音を鳴らすのかな?』と思ってたんですが、音がないと誰も気づいてくれないくらい静かなんですよ。でもこれってすごく未来的で、いいことだなって思って……今、騒音問題とかあるじゃないですか。これだけ静かだったら、それこそ普通の市街地でもサーキットを作ってレースができるかもしれない。サーキット建設に関する問題って、一番は騒音なんですよ。それがないから街中にサーキットが作れるかもしれない、安全面をちゃんとすれば、公道でもレースが可能になるかもしれない」

――これまでサーキットといえば、交通の便が良くない場所に作らざるをえませんでしたから、排気ガスも出ないMotoEならば、確かに市街地で開催することも可能かもしれませんね。しかも7周程度のスーパースプリントレースであれば、公道サーキットでレースする際でも短時間の道路占有で済む。

大久保選手「これは僕の個人的な意見なんですけど、今、特に若い世代とかって集中力が途切れやすいけれども、1つのことに集中する傾向にあると思うんです。そうすると、今後30分のレースを『長い』と感じる人が増えるかもしれない。動画とかでも10分未満の動画がよく見られたりとか。レースも多分そういう傾向になるんじゃないかと思っていて、電気バイクの短さっていうのは……さすがにもう少し長くなって欲しいとは思いますけど……普通のバイクレースのように長くする必要はないんじゃないかと思ってます」

――それこそネット動画を見る感覚で、サッとレース観戦を楽しめる、というような。

大久保選手「耐久レースほど長いと、つけっぱなしでお茶したり、ほかのことしながら見るという楽しみ方もあると思いますけども、スプリントレースの場合はちょっとそれもできないし……。なので僕個人的には、短いレースってアリなんじゃないかって思ってます」

■ MotoEのレース特性は?

――2021年シーズンはMotoGPのヨーロッパラウンド6か所で計7戦(第6戦と第7戦は同じ週末の土日に連続開催)というスケジュールのため、どうしても似通ったサーキットになってしまいますけど、将来的にシリーズが独立したり、MotoGPも電動化されたりすると、マシンの特性に合ったサーキットでのレースも見られそうですね。

大久保選手「それと同時に、今はワンメイクですけども、いろんなメーカーが入ってくると面白くなってくるんじゃないかな、って思います。電気になったらバイク屋さんより、変な話スマートホンの会社が強くなったりする可能性もありますから……」

――電気自動車のテスラのように、内燃機関のバイクを経験しないメーカーが台頭するかもしれませんね。現在は全ライダーが共通のマシンに乗っていることで、各選手のライディングテクニックや、セッティングの詰め方などの違いが大きくレースに影響する感じがして、バトルも多くなるような気もしますが、そのあたりは?

大久保選手「ワンメイクなんで、その傾向だとは思いますね……同じバイクを使ってる分、ライダーの仕事は多くなると思いますし、ヨーロッパ人とアジア人とでは体格差もありますし、それも考えて乗らないといけないな、と考えています。また、レースが短いだけに、その中でしっかりとレースの組み立てをどうするかが大事だと思っていて、金曜日のセッションから、もっと前のテストから戦略や戦術を練っていく必要性を感じています。ターゲットをどこに置いていくか、一見全開で走っているように見えて、すごく頭を使うレースになると思います。特にワイメイクレースってそういう傾向で、僕もアジアドリームカップってワンメイクのレースを経験しているんですが、ただ速く走るだけだと転倒のリスクも高くなるし、チャンピオンシップも7レースしかないので」

――ポイントも考えていくと、1戦ごとの戦い方、ラップごとの走り方が重要になってくるんですね。1回目のテストを終えて、自分のポジションはどの辺りという風に感じましたか?

大久保選手「まだ1回目なんで分からないですけども、テストの流れからいうと僕は結構いい流れで走ってたと思いますね。テストは単にタイムを出すことだけが目的ではないですから、MotoEのレギュレーションに向けてどのようにしなければいけないか、1回目のテストではしっかり考えられたので、2回目ではもう少し先に行ければ。結構いいレースができると思いますね」

――チームとしても初のアジア系ライダーということで、これまでのヨーロッパ人ライダーとは体格的な面でも異なっているでしょうから、大久保選手とチームが互いに理解を深めつつ、戦う状態を作り上げる、といったところでしょうか。

大久保選手「そうですね。やはりそこのコミュニケーションも非常に大事ですし、ヨーロッパのチームばかりなので、ヨーロッパ人同士だと言葉が通じたりするけど、その辺りが難しかったり……それは仕方のないところではありますけど、その中でアジョさんのチームは比較的やりやすい、と思ってますね。向こうも初めてサーキットで会って、仕事して……って感じでしたが、探り探りしながら、そのズレを次のテストで直していければな、って思ってます」

――7戦しかない、ということで、シーズンがあっという間に過ぎていくような感じにはなると思いますが……。

大久保選手「そう、ですね……MotoE以外にも、何かレース出られたらいいな、とは思ってますけれど」

――MotoGPのヨーロッパラウンドに合わせてレースが実施されるんで、6月27日の第4戦(オランダ:アッセン)から8月15日の第5戦(オーストリア:シュピールベルク)まで、ぽっかりとスケジュールが空いてしまいますしね。

大久保選手「MotoGPに限らず、スーパースポーツとか、ヨーロッパの国内選手権とか。せっかくヨーロッパにいるんで、機会があれば出てみようかな、っていう計画はあります。7月に、もしかしたら日本に帰ってくるかもしれません」

――今の新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みると、下手に動けない部分もありますね。帰国したらヨーロッパに再入国できなくなる可能性もあるし……。

大久保選手「2020年の場合は、7月以降は日本人の入国ができたんですけど、2021年は現時点(3月末)で日本人は原則ヨーロッパに入国できなくなってるんで……あとは、ワクチンがどうなるか、って感じですね……。MotoGP、Moto2、Moto3のライダーは開幕戦のカタールでワクチンの接種を受けてるんですが、MotoEのライダーもそんな風なことがあったらいいな、とは思ってるんですが」

■ 大久保選手の「オタ活」について

――今度はMotoEから話題を変えまして、大久保選手の「オタ活」、オタク活動の方をうかがいたいと思います。藤島康介先生とは、関係が続いてらっしゃるとか?

大久保選手「そうなんです。ベルダンディのバイク以来続いていまして。現在連載されている『トップウGP』にも取材協力というか、レーシングライダーについてお話ししたり、レース関係者をご紹介したりしています」

――ご自身の趣味としては、飛行機のプラモが知られていますが、ジャンルはどのような?

大久保選手「現代のジェット戦闘機から第二次大戦のものまで、結構幅広いですね。割とソ連とか、東側の機体が多いと思います。ヨーロッパでは公園などに実機が普通に展示してあって、近寄って見られるんですよ。僕はイギリスとウクライナにヨーロッパの拠点があるんですが、イギリスの方だと車で少し行ったところに、イギリス空軍のアクロバットチーム、レッドアローズの基地があります」

――うわ、スキャンプトン空軍基地ですか!それはうらやましい……。2020年シーズンは新型コロナウイルス禍で、ちょっとレース間隔も開いてインドアにならざるを得ない時期がありましたが、その頃はどうでしたか?

大久保選手「相変わらずプラモ作ってましたね(笑)。その時は初めて空母……キエフ級を作ってまして」

――ソ連側だと「航空巡洋艦」という分類になってるやつですね。大砲と一緒に斜めにせり出した飛行甲板があるという……。

大久保選手「艦載機にYak-38って垂直離着陸機があって、それを作ってましたね。ウクライナの『Amodel』ってメーカーが好きで、僕の好きな機体がいっぱい出てるので。そこのYak-28とか、本物を2019年に見たんで作ろうかな、とか。初期型のスピットファイアも作ってました。ほかにはSu-15ですね……ウクライナ仕様にしたんですけど、ウクライナのプラモ屋さんでデカールをたくさん買ってきて。百円とかで、すっごく安いんですよ。それを使おうと。(Su-15の)実機も見てるし、とにかく見たことあるの全部作ろうって」

――実機を見て参考にできる環境は贅沢ですね……。

大久保選手「写真も実際撮ってますけども、実際見るとやっぱり違うんですよ。インパクトが」

――写真と違って、実物の持つ情報量は多いですものね。

大久保選手「で、実機を見てると逆に『こだわって作らなくていいんだ』とも思えました。『こんな適当なんだ、実機って』という部分もあって。プラモデル的に言ったらダメなんでしょうけど、自分の中のイメージがちゃんとできてるんで、あぁ、こんな感じなんだな、っていう」

――昔のソ連機、って大ざっぱに作られてるけどタフ、って感じですよね。

大久保選手「あとはMiG-21もいっぱい作りました。いっぱい実機も見てるんで(笑)。『どこに行ってもあるわ、これ』みたいな(笑)。ほかにも、イタリアで車運転してたら、小さい個人的な飛行場になぜかマルヨン(F-104)が飾ってあって。なんでこんな所に、と思ったり」

――イタリア空軍もF-104使ってましたもんね……いやぁ、航空ファン的視点から見るとヨーロッパがうらやましい(笑)

大久保選手「ドイツでも、ベルリンの郊外に空軍基地をそのまま民間の飛行場にしたところがあって、そこに博物館があって……博物館っていっても、みんな野ざらしなんですけど、結構ありましたね……。戦車見に行った時は、フィンランドのパロラにある戦車博物館にBT-42見たいな……と思って行ったり」

――ほんと、日本とは違い、本物を見放題な環境でうらやましい限りです(笑)

大久保選手「こういう趣味があるんで、レースの間隔が空いてもほかのライダーと違って、全然苦じゃないんですよね。向こうにいても。プラモデル屋さんも結構ありますし」

■ 大久保選手の注目アニメは?

――アニメの方はいかがですか?ガルパンの最終章第3話や、シン・エヴァも観に行かれてたようですが、向こうにいらっしゃる時には、ネットの動画配信をご覧になってたりするんですか?

大久保選手「そうですね。Amazonプライムとかで見たりとかします」

――ちなみに、今注目してる作品とかは?

大久保選手「『ゆるキャン△』面白いなと思ってて。アニメでいったらそれと……ちょっと昔になりますが『あそびあそばせ』とか。あとは、題名が思い出せないんですけど、トレーニングの……」

――「ダンベル何キロ持てる?」ですね(即答)?

大久保選手「それです。あれ意外と良くて。ちゃんとトレーニング方法も勉強になるんですよ。結構真面目で」

――確かに。一応ギャグにはなっていても、ワークアウトの部分はマジで作られてますもんね。

大久保選手「面白いけど、参考になるなと思って見てますね……。『ゆるキャン△』もね、そういうキャンプとかの部分はちゃんとしてて。バイクの描写も上手いなーと思ってます。あとは『銀魂 THE FINEL』も観たかったんですけどね……ちょっと観に行けなくて。『鬼滅の刃』とか、最近のジャンプ作品は全然見てなくて、唯一見てるのは『SPY×FAMILY』ですね」

■ 漫画はやはり「乙嫁語り」推し

――漫画の方はいかがですか?

大久保選手「『乙嫁語り』は相変わらず好きですね。最近新刊(13巻)がようやく出て……」

――「乙嫁語り」は、ちょっと単行本のペースがゆっくりな面があるので、コミックス派にとってはもどかしい作品ですね。

大久保選手「ただ、絵がやっぱりきれいなので、遅くてもいいから絵のクオリティは絶対下げてほしくないな、と思いますね。見てるだけで癒やされるというか……『きれいだなー』と」

――ちゃんと取材されてる分、絵の情報量がすごいんですよね……。

大久保選手「ただ、このところアミルやカカルクたちが全然出てこないなっていうのが(笑)。あの後どうなったのかがすごく気になるんですけどね……」

――今はスミスの旅路によって別の物語が展開していますが、多分また戻ってくると思いますよ(笑)。そして単行本の間隔も長くなりがちなので……。

大久保選手「そうですよね。僕もアミルのコスプレ衣装の時から5年も経つのかと思いましたもん」

■ 幻の2020年「エヴァレーシング」鈴鹿8耐参戦計画

――長いといえばガルパンも息の長い作品になりましたね……テレビアニメが2012年10月からですから。

大久保選手「2017年から始まった全6話の最終章がまだ3話ですし、残り3話がいつになるか……せめて1年に1回ペースにしてほしいというのが僕の希望ですね。僕、もう『エヴァ』は半分諦めてましたけど、終わらせてくれて『ありがとうございます』でした。またよく分からない感じで終わるのかなと思ったら、意外とスッキリ終わってくれたんで」

――庵野監督が、ちゃんと決着つけるという意志を貫き通してくれたおかげ、というのもあるかもしれませんね。

大久保選手「僕は新劇場版から入ったんですけど、その時ちょうどシンジたちと同じ14歳で。そこからテレビアニメ版見て、旧劇場版観て……その間に僕、エヴァのバイク乗ってますからね。エヴァンゲリオンレーシングのテストで」

――そうだったんですか!?

大久保選手「8耐も誘われてたんですけど、一昨年は色々あって本番は無理だけどテストだったらいいよ、と僕が言ってテストさせてもらったんですけど、まさかエヴァのバイクに乗るとはなぁと……」

――感慨深いものがありますね。まさか別の意味で「エヴァ」に乗るとは。

大久保選手「少しでも作品に関わることができたのは嬉しいですし、今年も8耐があったら、そういう話があるかもしれません。本当は去年、エヴァで参戦する予定だったんですよ。中止になっちゃいましたけど」

――それは残念……。今の状況は不透明ですが、8耐にも参戦できるといいですね。ちょうど開催時期に当たる7月は、MotoEのレースもありませんし。

大久保選手「今年は絶対……FIM世界耐久シリーズ全体の開催は無理でも、日本だけでもやってくれるといいなと思ってます。海外のライダーが参戦できなくても、日本人ライダーだけでできないかなと。ほんとに初期に戻る、って感じですけどね」

――それこそ始まった当初の草レース的な雰囲気というか、ワークスとプライベーターのマシンがごちゃ混ぜで走ってた頃のような、そういうレースが今あったとしたら……。

大久保選手「それはそれで面白いと思うんですよね」

――今だとどうしてもワークスチームをメインで見ちゃうと思うんで、逆に様々なプライベーターに注目がいくようになれば、自分たちもレースの世界に入ってみよう、というという人も増えて、盛り上がるようになるかもしれませんね。そういう意味では、MotoEは現在ワールドカップという位置付けですけども、今後MotoGPのような格付けになれば、ほかのジャンルの人たちも入ってくるでしょうし、現在のワンメイクの体制から開放されるようになってくると、新しい流れが生まれてくるかもしれません。

大久保選手「僕もレースを頑張らないといけないですけど、これからの電気バイクレースがどのようになっていくのか、というのは楽しみですね」

■ 2021年シーズンの抱負

――それでは、最後に今シーズンの抱負をお聞かせください。

大久保選手「どのシリーズでもチャンピオンを狙うのは当たり前なんで、もちろんチャンピオンを狙っていきます。それ以外にも、電気バイクによるMotoEのレースというものをアジアで注目していただけるようにして……今後の若い子は、間違いなく電気バイクも視野に入れてレース活動しないといけないと思うので、そこの道をしっかり作っていかないといけないな、と思っています」

――今シーズンの活躍を期待しております。本日はありがとうございました!

2021年5月2日にスペインのヘレス・サーキットで行われたMotoE開幕戦。予選11位でスタートしたマシンナンバー78の大久保選手は、8周(35.384km)のレースで7位に入賞。シーズンのチャンピオンシップポイントで9ポイントを獲得しました。

 MotoE World Cup 2021の第2戦は5月16日、フランスはル・マンのサルテサーキットで開催されます。4輪の「ル・マン24時間レース」で有名なサーキットはヘレスに比べ、比較的切り返しが少なく、スピードが出やすいレイアウト。

 MotoEス大会の決勝は、日本時間の16日17時5分スタートの予定。MotoGP公式サイトでは、有料のオンデマンド配信「MotoGP VIDEOPASS」も実施しています。

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オージーケーカブト

(取材・見出し写真撮影:咲村珠樹)