その部位が男性機能にかかわるだけに、あまり声に出して言いづらい「前立腺」。しかし、この部位を堂々と商品名としているアルコール飲料がネットで話題になっていました。ネーミングがネーミング故にお店で買いにくい……などなど。

 この一風変わった商品名「前立腺の友」を作っているのは、鹿児島県霧島市にある麹食品と焼酎の製造メーカー、有限会社 河内菌本舗。鹿児島焼酎、ひいては全国の焼酎の礎となった焼酎用の麹の元祖ともいえるメーカーです。なぜ「前立腺」という、デリケートともいえる体の器官を商品名に挙げたのか、メーカーに訊いてみました。

■ 元々は社員の健康促進用だった

 「この商品は、約30年前、弊社会長の知人で終末期を迎え食事がのどを通らなくなった親族のために作られた麹汁が始まりでした」と広報担当の方。病気により胃と食道を全摘したその親族は、術後、退院した後も食事をうまくとることができなかったといいます。その状態を見ていた会長は、麹の栄養価の高さなどから麹のドリンクを作ってみることを思いついたそうです。

 以来、従業員の健康促進の目的で、社内でだけ飲むように製造していたのだそうですが、その話を聞いた河内菌本舗の取引先のひとが興味を持ち、試飲を希望。そこでドリンクを分けてみたところ、思っていた以上に好評だったことが商品化のきっかけとなりました。

■ 「前立腺の友」の名前の由来

 河内菌本舗は、その試飲した取引先の人の勧めもあり、商品化することを決意。そして気になる名前の由来ですが、「世の男性を鼓舞する目的」で、縁起を担ぎ「前立腺の友」というネーミングにしたとのこと。

 主に中高年層に飲んでもらいたい、という思いもあるそうですが、「夫婦でも飲みたいがネーミング的にちょっと……」という声や「ゴミに出しにくい……」という納得の声、さらに「アルコール度数が1%と、下戸の人には飲みにくい」という声に応えて、アルコール度数が約0.5%未満の「麹の華」という商品も販売しているそうです。どちらも麹の酵母や酵素などの内容はほぼ同じで、アルコール度数のみが違うのだそう。

 ちなみに、「ゴミに出しにくい……」というのは、前立腺の友を愛飲していた某大手企業の会長秘書の方からの意見との事。それを受けて、一時期商品名を変更したこともあったそうですが、他の購入客から「この名前だからよかったのに」「前立腺の友という名前じゃないと効く気がしない」という意見が多数寄せられたのだそう。こうして、また商品名を戻したというエピソードも。

 ちなみに、気になるお味は「ほのかに甘いシャンパン風」とのことで、意外と飲みやすいそうです。

<記事化協力>
有限会社 河内菌本舗

(梓川みいな)