もうすぐ敬老の日。体が弱って歩くのが最近おぼつかなくなってきた……というおじいちゃん、おばあちゃんに、歩きやすいように手押し車を買ってあげようかな?と考えている人、いませんか?買うの、ちょっと待ってください。歩行を補助するものなどは、実は介護保険が使える場合があるのです。

 杖や手押し車などの歩行の補助具や、長く歩けない人のための車椅子、介護に必要なベッドやマットレス、手すりなどは、福祉用具と呼ばれています。その福祉用具、介護保険で要介護認定が下りている人や要支援認定が下りている人は、実はレンタルする事ができます。福祉用具専門相談員という、専門資格を持ったプロの人が、利用者の体の状態や住環境などをみて、どの福祉用具がその人に合っているかを選んでくれるのです。

 手押し車一つとっても、取り回ししやすい軽いものから体重を預けても勝手に転がっていかないもの、シンプルなものから買い物で荷物を色々入れられるものまでタイプは様々。そしてこういったものは市販はされているものの、買ってみてやっぱりうまく使いこなせなかったという事も往々にしてあるのです。

 筆者は、看護師として老人保健施設やデイサービスに長い事勤務していました。リハビリができるデイでは、理学療法士と福祉用具専門相談員とケアマネージャーが協力して利用者である高齢者の方の福祉用具の選定やレンタルを行っている場面も何度も見てきました。これはそれぞれの専門領域から、どのプランが利用者に合っているのか、どういった福祉用具がその人にとって一番いいのかを考えて選んでいるので、確実に利用者に合ったものを選ぶ事ができます。

 また、買い上げるよりもレンタルする方がいい理由のひとつとして、故障時に迅速に対応できる事も挙げられます。レンタルできる事業者のもとには同じ型の福祉用具が複数あったり、修理も迅速に行えたりするので、買い上げた後に修理が必要になった時よりも早く直してもらう事ができたり、代替品を貸してもらえたりします。

 これらのレンタルは介護認定を受けていないとできませんが、この機会に介護認定を受けるのは今後の生活の質を落とさないためにもいいかもしれません。介護が必要である旨の主治医意見書や、役所での手続きなど、認定を受けるまでのハードルは高いかもしれませんが、適切な介護度を認定してもらう事で様々なサービスを受ける事ができるようになります。

 大切な家族により豊かな生活で、長生きしてもらいたい。そのお手伝いができる用意は様々あります。家族に高齢者がいるというご家庭で、介護の事をまだ考えたことがなかったのであれば、この機会に考えてみるといいかもしれませんね。

<参考>
福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与 | 介護・障害情報提供システム NAGOYAかいごネット
よくある質問|一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会

(梓川みいな/正看護師)