子どもが小さい時は体調を崩すことが多いもの。そんな時に手軽に活用できるのがLINEのトーク機能を使った経過記録。

 子ども用の専用トークを作っておき、そこに症状や使った薬などをその時その時で入力、投稿していくという方法です。家族との共有も簡単なので、看病をした家族と受診に連れていく家族が違っていても経過が分かりやすいのが特徴。

 この記録術をSNS上で提案したのは医師の相川晴さん。医師にとっても時系列に記録ができるという事でお勧めだそうです。

 医師の相川晴さんは、自身も子育ての真っ最中。

「子どもの体調不良時、LINEで自分だけの1人グループを作っておくと便利です。
体温や症状、使った薬など、書けば自動でタイムスタンプがつきますし、皮疹などの写真も記録可。夜中でもメモしやすいです。
また、家族をグループにしておけば情報共有できます。受診時にも役立ちます」

 と、LINEの画像付きでX (旧:Twitter)に投稿しています。続けて、

「家族と共有する場合は、相手に通知をオフにしてもらっておけば遠慮容赦なく経過が記録できます。

看病してない人が病院に連れていくと、『いつから症状が出ましたか?』とか『食事は?』とか聞かれても『……?』となっちゃうことがあるのですが、この記録があると状況が伝えやすくなります」

 家族間で共有できる利便性についても説明。確かに、主に育てている人と子どもを診察に連れていける人が違う場合は結構あるパターンなので、リアルタイムに情報共有ができるというのは双方にとってとても便利。

 この方法はさして目新しい方法ではないとのことですが、今回初めて知った人たちからは、参考になるとの反応があがっています。

LINEへの投稿例

 他にも育児記録アプリや、出産後から使えるアナログな育児ノートなどもあるのですが、手書きだと焦って字が崩れてしまう、いつ書いたか、いつどのような症状があったかなどを書き落してしまう可能性があります。家族間での共有も簡便ではないかも。

■ 専用アプリでないLINEが便利なワケ

 LINEの場合、記録して送信した時点でタイムラインに時間が自動的に入るため、いつ薬を使ったのかを書き忘れた場合でも使った時点でLINEに送信しておけば自動的に時間も分かります。

 さらに、ケガや湿疹の状態もその場で写真を撮って送信しておくことで皮膚の状態も写真で記録しておけるので、いつどのような症状が出たのかを気が付いた時に記入しておくことができます。

 一番の活用ポイントは、この子ども記録LINEが電子カルテのような役割を果たしてくれるというところ。あまり年が離れていない子どもがいると、きょうだい間で感染しあって相次いで発熱や腹痛といった症状が出ることがあります。

 こうした状態でも、上の子用LINE、下の子用LINEといった感じで記録を作成しておくことで、専用カルテの役割となります。受診の際はこの記録LINEを医師に見せれば、言葉で一生懸命説明するよりも簡潔明瞭に症状と流れが把握でき、診断もしやすくなります。筆者は現役の看護師でもあるのですが、医療スタッフ側からしたらこれ、めちゃくちゃ助かります。

 相川さんに、医師視点でどのような点に気を付けて記録したら良いのかを聞いてみました。

 まず、気になった症状があった時はその場で気になったことを送信。記録の内容から必要な情報をピックアップできるとのこと。

 食事の量や水分の摂取量、排泄の回数や性状(おしっこの色や便の形、色など)も判断材料として大きな役割を果たしてくれます。下痢ならしゃびしゃびの便が多量とか、どろっとして白っぽいなどの具体的な状態を記載しておきましょう。どう書いたら良いのか分からない場合は写真を撮っておけばOK。

 子どもにありがちな熱性けいれんの時なども、ビデオで記録しておくとけいれんの詳しい発作の状態が分かるので診断に大いに役立ちます。初めての症状だと気が動転してなかなかそこまでできないかもしれませんが、その場合は何分くらい症状が持続していたかなど、ざっくりとで良いのでメモを残しておくと良いでしょう。

 また、発赤や皮疹など皮膚の状態も写真に撮っておくことで、その時に起こった状態が分かりやすく、一旦皮膚の症状が消えても状態を把握しやすくなります。体の表面に起こっていることは画像として残しておくのが良さそうです。看病にさし障りのない範囲で記録できていると、大変助かるとのことでした。

■ 観察ポイントまとめ

 症状別に必要な観察ポイントとしてまとめると、

【観察ポイント】
・全症状に共通して必要なのは、いつ発熱したか、嘔吐や下痢、尿の回数、食事や水分の摂取量
・おなかの症状の場合は、下痢の状態やおなかのどの部分を痛がっているか
・のどの風邪っぽい場合は、咳の状態、鼻水や痰の色、のどの痛みがあるかどうか
・皮膚の症状であれば、いつ頃状態の異変に気が付いたかと一緒に病変部分の写真も撮っておく
・薬を使った時は、いつどんな薬を使ったか

 以上のことを、できれば症状が起きたその時にLINEに送っておくと、診察の際にカルテと同様に確認することができて大変便利です。リアルタイムで送れなくても、症状や薬を使った時間が大体分かればOKです。

 初めての育児で慣れないことが多い、という人も多くいるかと思いますが、身近に使えるものを使うことでいざという時に役に立ちます。

 ただ、LINEの場合、機種変更や不測の事態で今使っているスマホが使えなくなった時に今までの記録が見ることができなくなる可能性もあります。そうした事態に備えて、記録が一段落したところでトーク履歴を送信してテキストに残しておくと、バックアップが取れる状態となるのでお勧めしておきます。

<記事化協力>
相川晴(HAL)さん(@halproject00)

(梓川みいな・正看護師)