自身のTwitter上で漫画を連載しているやすしげさん(@fukairi4)が、「初音ミクなど大嫌いだ」という衝撃的なコメントとともに漫画を投稿し、読者から共感の声が上がっています。

 「初音ミクなど大嫌いだ」。やすしげさんは、中学時代にそう思っていたといいます。当時は、初音ミクが登場したばかりの「ボカロ黎明期」。周りの友人らは聴いていたけど、やすしげさんは「機械が歌う?バーチャルシンガーだと?」と、意味が分からなかったとのこと。

 さらにやすしげさんは、「オタクっぽくて、きもいし……あんなんのどこがいいのだろうか……」と、初音ミクやボカロを聞きもせず、毛嫌いしていたそうです。たしかに、筆者も「歌はハートだろ。気持ちがこもっていない歌のどこが良いんだ」と思い、やすしげさんと同じように「ボカロ」の曲は聴こうとはしませんでした。

 その後、やすしげさんは大人になり、漫画を描いていたある日のこと……。作業中に何かBGMが欲しいと思ったとき、たまたま初音ミクの「メルト」を見つけ「なんでもいいか」と聴いてみたそう……。



 すると、「いいじゃん、『メルト』……」と、当時は嫌いだった初音ミクやボーカロイドが気になって仕方なくなり、動画を見たり、CDを聴いたり……。さらには、初音ミクの絵も描くようになって、毎年、初音ミクのライブに行くほど好きになったとのこと。



 この経験から、やすしげさんは「偏見や先入観、意地や思い込みなどで、僕は一体どれだけのものを知らずに来たのだろう」と後悔し、「『知らないもの』『興味ないもの』は、実はとても価値があるものではないだろうか」と感じたよう……。そして、「初音ミクは、それを僕に教えてくれた」と漫画の中で語っています。

 ちなみに、筆者もこの仕事をするようになり、ニコニコ超会議で「超歌舞伎」を取材した時、「千本桜」で会場全体がひとつになり、最高潮に盛り上がった瞬間は、鳥肌が立ち、心が揺さぶられた感じがしました。

 「ボカロ」の曲には気持ちがこもっていないと思っていましたが、ひとつの曲が完成するまでには、作曲した人はもちろん、たくさんの人たちの気持ちが込められているんだなと、実感した瞬間でもありました。

 この投稿には、「私も最初はオタクとか厨二とか思ってボカロを避けてました」「すっげぇわかる!」と、共感の声が多く寄せられていますが、筆者もその1人です。嫌いになることは簡単ですが、偏見や先入観を取っ払い、体験してみることの大切さを、やすしげさんの漫画で改めて感じることができたと思います。

<記事化協力>
やすしげさん(@fukairi4)

(佐藤圭亮)