熊本・福岡という限られた地域で放送されていたTVCMが、まさかの全米デビューを果たしてしまいました。しかもなぜか好評で、あの有名作品とコラボしたパロディまで作られてしまったという……どうしてこうなった。

 発端は、らくのうマザーズ(熊本県酪農業協同組合連合会)が、熊本の酪農家たちが牛乳をおいしく飲んで欲しいという思いを込めて制作した、成分無調整牛乳「らくのう牛乳」のTVCM。「牛乳ビーム篇」と名付けられたこのCMは、2017年6月から熊本県と福岡県の地元TV局で放映されると同時に、YouTubeでも公開。UFOから牛の乳首が現れ、地上で子供たちが持つコップの中にビーム状に牛乳を注ぎ込むという衝撃的な展開が大きな話題になりました。公開から約半年が経った現在、YouTubeでの再生回数は50万回を超えています。


 ところが、その反響は日本だけにとどまらなかったのです……。アメリカで人気のトークバラエティ番組『エレンの部屋(The Ellen DeGeneres Show)』の2017年10月10日放送分で「日本のおもしろCM」として紹介。司会のエレン・デジェネレスさんが「あえて何も説明しません。ってか、一体なんなんだかよく判らなくて、うまく説明できません」というコメントの後、このCMが流されるとスタジオは大爆笑。「これぞ『牛乳のCM』でしょ?」とエレンさんが笑います。またネットでも好評な(?)コメントがずらりと。「面白い!」はあたりまえで、「おっぱい……」と絶句する者、はたまた「牛乳飲みたくなった」「Oh Japan」という声や、「飲んでたものを吹き出しそうになった」という声までも。とにかく反応は良かったようです。

 多分、YouTubeでスタッフが見つけたんでしょうねぇ……。いやぁ、ネットこわい。

 そして、エレンさんはじめスタッフたちは、この円盤から出てくる乳首が非常に気に入ったようです。10月13日放送分では、スタジオ後方にあるブース「Skybox」の冠スポンサーに「らくのうマザーズ」がついてくれました!という設定で、新しくなった冠スポンサーを披露。なんか出落ち感半端ないですが、さらに「スポンサーになるにあたり、らくのうマザーズ側からの条件」として、Skyboxの天井にCMでおなじみの牛の乳首が。なんとそこからちゃんと牛乳が注げるという芸の細かさです。

 10月18日放送分では、話題のスターウォーズシリーズ新作『スターウォーズ/最後のジェダイ』の予告編のパロディとして、この「牛乳ビーム」ネタが登場。もちろんオチにUFOがでてきて乳首から牛乳が注がれるという……。タイトルも『STAR WARS THE LAST TEATS(スターウォーズ/最後の乳首)』になっています。これが本当に最後の乳首とは……。

 さらに10月27日放送分。毎年恒例の「おすすめハロウィンコスチューム」ファッションショウ。この最後(要するにオチです)に、らくのうマザーズ「牛乳ビーム篇」のUFOのコスプレが登場。衣装というか、着ぐるみを着ていた6歳の女の子は、これが牛の乳首だとは気づいてなかったようです。改めてCMを見せられ、ようやく知ったという……でも屈託ないですね。

 ほぼ毎週のように「牛乳ビーム」ネタが披露される『エレンの部屋』。最新では11月2日放送分で、今度は映画『ジャスティス・リーグ』のパロディ動画が放送されました。もちろんオチは……言わなくても判りますね。タイトルも『JUSTICE TEATS(正義の乳首)』になってます。正義の乳首ってなんだ。

 ちなみにこれらのネタは全て「らくのうマザーズ」は関知しておらず、『エレンの部屋』側で勝手にやってるものだとのこと。いろんな意味で著作権どうなってんだ、という気もしますが、アメリカはこういうパロディでの利用に関しては大らかなところがあるからみたいですね。

 実はこの話、まだ終わっていないのです。らくのうマザーズの職員が『エレンの部屋』出演交渉中という話が伝わっており、さらに転がっていきそう。作った当初はただのローカルCMだったはずなのに、ネット時代って恐ろ……面白いですね。はたしてらくのうマザーズの職員の方の全米デビューなるか!?

(咲村珠樹)