大金があれば毎日遊んで暮らせる……と考える人は少なくないはず。でもそれは、クリエーターには当てはまらないかもしれません。SNSに流れた「もし10億あったらもう創作なんてしないよね?」といった言葉に、とある漫画家がクリエーターの本質をネタ混じりに語りつつ、だらけてしまいそうになる自らへの戒めも含めた言葉を綴っています。

 GENさんはオリジナルや小説のコミカライズ作品など、さまざまな作品を発表している漫画家。Twitterのタイムラインに、宝くじが当たるなどして10億円手に入ったら、それでも創作を続けるのか……といった内容のツイートが流れてきたといいます。

 これにクリエーターとして、いささか思うところあったGENさんは「10億あったら生活の心配がなく、売れることを一切意識せず、それこそリミッター全解除で思うがまま創作に全力投球できるじゃろうがバカチンが!」と投稿。創作欲は金銭では失われないというクリエーターの本質を激白したツイートは2万件弱のリツイート、7万件あまりのいいねが寄せられました。

 これにはクリエーターの端くれである筆者も同意。クリエーターは「まだ形になっていないものを形にしたい」という欲で創作に取り組むもので、金銭欲とはまた別です。

 もちろん、クリエーターであっても収入がないと生活できませんから、生活の糧を得るために「お金になる仕事」をする必要があります。それが「自分のしたい創作」であれば非常に幸せなことですが、現実はそうスンナリとはいきません。

 大抵の場合、先方に受け入れられるよう、少なからず妥協した作品を作らざるを得ないのがプロのクリエーター。もちろん、そうであっても素晴らしい作品を生み出すのが一流なのかもしれませんが、できれば他人の評価とは関係なく、自分の思い通りに作品を作りたい、と思っているのがクリエーターの偽らざる気持ちだといえるでしょう。

 ちなみに、GENさんはリミッターを全解除し、思うがままに創作したい作品はどのようなものなのでしょう。うかがってみると「以前打ち切られたファンタジー作品、もしくは妖怪などがでる和風伝奇のネタ(前に同人で制作したとき、3話で50冊も売れない大惨敗で続けられなかった)を気の向くまま描くかと思います。あとゲーム実況やゲ制にも興味があるので、そちらを」とのこと。打ち切りになった作品を最後まで描きたい、というのは漫画家ならずとも共感できるのではないでしょうか。

 もちろん、クリエーターでなくとも「10億あったらあの作品を完結させてほしい」と思うファン心理もあるように、大金を浪費するのではなく「生きたお金」として使いたい人も少なくないはず。いきなり10億は現実的な話ではありませんが、大金を手にした時どのようにしたいか考えるというのは、楽しいシミュレーションになるかもしれません。

<記事化協力>
GEN@コミカライズしたり同人したりさん(@gengenetrix_3)

(咲村珠樹)