イギリス空軍とイスラエル航空宇宙軍は2021年3月18日(現地時間)、イギリス空軍制服組トップのマイク・ウィグストン参謀総長がイスラエルを訪問したと発表しました。ウィグストン参謀総長はイスラエル航空宇宙軍幹部と会談したほか、F-15での飛行を体験。イギリス空軍の参謀総長がイスラエルを訪問するのは、これが初めてのことです。

 イギリスのウィグストン空軍参謀総長は、イスラエル中央部に位置するテルノフ空軍基地に到着。イスラエル航空宇宙軍の制服組トップ、アミカム・ノルキン参謀総長らの出迎えを受けました。

 イギリス、イスラエル両国は中東地域情勢を鑑み、2019年4月に相互協力関係を強化することで合意。それまであまり交流のなかった両国軍でしたが、この合意以降から関係が活発化しています。

 テルノフ空軍基地では、ウィグストン参謀総長とノルキン参謀総長が第106飛行隊に所属する2機のF-15D“バズ”に分乗し、共同飛行を実施しました。この飛行ではイスラエルのバラエティ豊かな風景のほか、ラマト・ダヴィド空軍基地(第二次世界大戦中にイギリス空軍の基地として創設)など、両国の歴史に縁のある場所を上空から視察しています。




 また、テルノフ空軍基地で無人偵察機エイタン(ヘロン)を運用している第210飛行隊も訪問。エイタンは今後、両国間で実施予定の共同訓練に参加することになっており、ウィグストン参謀総長はその準備として、機材に関するレクチャーを受けました。

 3月18日にパルマヒム空軍基地を訪問したウィグストン参謀総長は、第151飛行隊でイスラエルの弾道ミサイル防衛を担う地対空ミサイル「ヘッツ(アロー)」運用について、弾道ミサイル迎撃シミュレーションを交えて説明を受けました。

 その後ウィグストン参謀総長は、F-35I“アディール”を運用する第130飛行隊があるネバティム空軍基地に移動。両国空軍は今年後半、空母クイーン・エリザベスの遠征航海に合わせ、F-35同士の共同訓練が予定されているため、その地ならしともなる訪問となりました。

 このイスラエル訪問で、ウィグストン参謀総長はイギリス空軍とイスラエル空軍で活躍したダン・トロコフスキー退役少将と対面しました。現在101歳のトロコフスキー氏は、第二次世界大戦中にイギリス空軍の戦闘機パイロットとして活躍し、戦後の1946年に大尉で除隊したのち1948年に新編されたイスラエル空軍に参加、1953年には5番目となる部隊司令官となっています。

 訪問を終えたウィグストン参謀総長は「イスラエル航空宇宙軍と関わり、両国の歴史的遺産を再確認して永続的な関係を育み、相互が関心を寄せる分野について話し合う絶好の機会となりました。ノルキン参謀総長をはじめ、もてなしてくれたイスラエルの優秀なチームに感謝します」と総括しています。

 ホストとなったイスラエル航空宇宙軍のノルキン参謀総長は「イギリス空軍との関係は、私たちにとってとても重要です。今回の訪問で私たちは両軍の協力について意見交換すると同時に、中東情勢についても話し合いました。私たちは、お互いから学び続けることを通じて自身の改善・強化につなげることを目標に、これからも戦略的関係を深めていきます」とのコメントを発表しています。

 今回の訪問をコーディネートしたイスラエルのイギリス駐在武官、ティダール大佐は「私の役割は両国の軍隊に精通し、共通の関心事を特定して相互協力のお膳立てをすることです。イスラエル国防軍の目覚ましい活躍の一環として、戦略的分析とイギリスの政策変更とともに、両国間の関係拡大に大きな進歩があったことは疑いありません」と今回の訪問を総括しました。

 イギリス海軍の空母クイーン・エリザベスは、2021年の後半に初の実戦任務として東アジア方面への航海を予定しています。今回のウィグストン空軍参謀総長の訪問は、クイーン・エリザベス艦載機部隊とイスラエル航空宇宙軍の共同訓練に向け、事前準備として得るものは大きかったようです。

<出典・引用>
イギリス空軍 ニュースリリース
イスラエル航空宇宙軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright/イスラエル航空宇宙軍

(咲村珠樹)