最奥部にロシアがあり、ロシア軍が大西洋に出る際のルートとなるため、NATO加盟国とのせめぎ合いが日常茶飯事のバルト海。NATO加盟国が持ち回りで担当している、バルト3国での防空任務にチェコ空軍の戦闘機グリペンが9月から派遣されることになりました。

 バルト海は、フィンランドとバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に挟まれた細長い海域。最奥部にロシアがある為、ロシア軍の艦船や航空機はここを通過して北海や大西洋へと出ていきます。

 しかし細長いバルト海は、各国の領海部分を除いた公海にあたる面積が少なく、領海・領空侵犯をせずに移動するのは大変です。バルト3国が旧ソ連領だった頃は、フィンランドから離れたバルト3国沿岸を進めばよかったのですが、バルト3国が独立してNATOに加盟して以降、頻繁に領空侵犯が起こるようになりました。

 バルト3国は国家規模が小さいので軍備は陸上戦力に偏っており、自国の領空を警備する戦闘機を保有していません。この為、NATO加盟国は持ち回りでバルト3国に展開し、バルト海の領空警備にあたっています。

 現在派遣されているのは、リトアニアのシャウレイ空軍基地にハンガリー空軍のJAS39グリペンとスペイン空軍のF-18、エストニアのアマリ空軍基地にイギリス空軍のユーロファイター・タイフーンという顔ぶれ。それぞれ対岸のフィンランド空軍と協力し、領空侵犯に警戒する体制を取っています。




 このところロシア軍の航空機はバルト海での動きを活発化させており、1日に複数回スクランブル発進することもしばしば。対象となる航空機は、輸送機や爆撃機、電子情報収集機、そして戦闘機とほぼ全種類にわたっています。



 9月1日付でチェコ空軍から派遣されるのは、チャスラフ空軍基地に所属するJAS39グリペン戦闘機5機とパイロット、整備をはじめとする運用員最大95名。エストニアのアーマリ空軍基地に展開します。

 4か月間の任務を指揮するのは、グリペンでの飛行時間が1000時間を超える熟練の戦闘機パイロット、パヴェル・パヴリク中佐。なお、期間中に機材と一部の人員の交代も予定されています。任務は2019年12月末で、2020年1月に本国へ帰還する予定です。

 チェコ空軍は過去2009年と2012年にバルト海での領空警備任務に就いており、今回で3回目の派遣。この他にも2014年・2015年・2016年にはアイスランドへ展開し、北海周辺の領空警備任務にもあたっています。

<出典・引用>
チェコ空軍 プレスリリース
イギリス空軍 プレスリリース
ハンガリー空軍 プレスリリース
スペイン空軍 プレスリリース
Image:チェコ空軍/ハンガリー空軍/RAF Crown Copyright 2019

(咲村珠樹)