ボーイングは2022年2月2日(現地時間)、スペイン陸軍向けアップグレード版CH-47Fの1号機を納入したと発表しました。

 スペイン陸軍では、老朽化したCH-47Dを更新する計画を進めており、保有する17機をすべてF型相当へアップグレードすることにしています。

 スペイン陸軍の大型輸送ヘリコプター、CH-47Dは「チヌークHT-17」の名称で採用され、全17機がマドリード近郊のコルメナル・ビエホで運用されています。老朽化と装備の陳腐化に対応するため、アップデートの契約が締結されたのは2019年1月のこと。

 今回、スペイン陸軍とボーイングは新造機を導入するのではなく、基本的な機体構造はそのままに、内部の機器を最新のF型相当にする「remanufacture(再製造)」という方式を採用。調達コストの低減を図りました。

 当初は2021年より引き渡しが始まる予定の計画でしたが、新型コロナウイルス禍などの要因により、作業が遅延。引き渡しがこの時期までずれこんだものです。

 コルメナル・ビエホで行われた式典で、ボーイングの輸送ヘリコプタービジネス開発・将来型垂直離着陸機計画統括のヘザー・マクブライアン氏は「チヌークはお客さまの期待を超える活躍を続けており、F型はスペインに、引き渡しから維持管理に至るまで先進と高い信頼性を提供します」との談話を発表しました。

 CH-47Fは多機能ディスプレイによるグラスコックピットや、高度な自動操縦システムを備えているほか、強化されたエンジンにより輸送できる最大重量も向上しています。既存の機体からのアップグレードにも対応しているのが大きな特徴で、スペインに先立ちオランダでもD型からF型相当にアップグレードされた機体を2020年に受領しています。

<出典・引用>
ボーイング ニュースリリース
画像:Boeing

(咲村珠樹)