2019年は、人類が初めて月に降り立ったアポロ11号の着陸からちょうど50周年。これに合わせてアメリカでは各種のイベントが行われています。50年前にアポロ11号の月着陸船が月面に到達し、記念すべき第一歩を記した7月20日を前に、テキサス州ヒューストンにあるNASAジョンソン宇宙センターでは、当時のミッション・コントロール・ルームを修復。一般公開する準備を進めています。

 人類初、そして現時点で唯一の有人月探査計画であるアポロ計画。1963年に当時のケネディ大統領が「我々はこの(60)年代のうちに人類を月へ送り、そのためにあらゆる手を尽くす。簡単だからではなく、むしろ困難だからこそ挑むのだ」という演説から始まりました。その準備段階であったジェミニ計画を含め、多くの人々の献身と努力の結果、アポロ11号は1969年7月20日、月面へ故ニール・アルデン・アームストロング、エドウィン・ユージン・オルドリンJr.氏2名の宇宙飛行士を到達させたのです。







 そのアポロ計画の全てにおいて、フライトの指揮をとった場所が、ジョンソン宇宙センター30号棟にあるミッション・コントロールです。この場所は1985年、アメリカの史跡に登録されました。アメリカの歴史的遺産として保全されることになっているのですが、作られて半世紀以上が経過し、様々な部分が経年変化で劣化してきていたといいます。そこでアポロ11号の月着陸50周年を前に、綺麗に修復しようということになりました。

 とはいえ、すでにアメリカの「史跡」となっているため、NASAの建物であっても勝手に修復し、現状変更を行うことは禁じられています。そこでNASAのプロジェクトチームは、史跡を管轄するアメリカ国立公園局に申請し、計画の詳細を詰めていきました。プロジェクトのスタートは2013年にさかのぼるといいます。

 修復作業では、壁面に取り付けられた貴重な品々も外されていきます。これらも丁寧にクリーニングされました。

 古いCRTディスプレイがはめ込まれたコンソールは、専門の家具修理業者の工房へ。また、見学者ルームにあった椅子も、生地が張り替えられています。ちなみにアポロ計画のミッション・コントロールは同じ建物に、2階にあるMOCR-1と3階にあるMOCR-2の2か所設けられており、どちらも修復の対象になっています。


 6年がかりの修復を終えたミッション・コントロール。アポロ計画当時、NASAのミッション・コントロールを担当していたOBから当時の証言を集める作業も並行して行なっています。存命の方から25人ほどの証言を記録することができたとか。そして証言によって、当時の明るさも再現。正面の映像はプロジェクターで投影していたので、結構薄暗かったようです。



 修復なったアポロ計画のミッション・コントロールは、2019年6月28日(現地時間)にまず報道向けに公開。その後一般公開が始まる予定となっています。一般公開が始まると、正面のスクリーンには当時の映像が上映されたり、交信の音声が流されたりするそうですよ。

 NASAでは、アポロ11号月着陸50周年を記念した特設サイトを開設しています。当時の様々な映像や画像、音声などが公開されているので、興味のある方は覗いてみるといいかもしれません。

<出典・引用>
NASA ニュースリリース
Image:NASA

(咲村珠樹)