何事も経験の有り無しで取り組む時の姿勢や心構えが変わってきます。仕事に対し慣れてくると手の抜きどころがわかって、楽を覚えるのもその一つ。

 しかし蓄えた経験値が真の威力を発揮するのは「修羅場」の時。そんな修羅場を目の前にした際の心情を描いた漫画が共感をあつめています。作者は、Twitterではおなじみの漫画家・横山了一さん。コミック「北のダンナと西のヨメ」「戦国コミケ」などの作者として知られています。

 そんな横山さんが描いたある日の出来事。スケジュールを確認すると着々と仕事の予定が埋まっていることに気づきます。「なんかスケジュールがヤバイことになってきた…」とぼやき、真っ白な原稿用紙を前にして「コレ…間に合わなかったらどうしよう」と目が点に。しかし次の瞬間「カッ」と降りてくるものが。それは「でも大丈夫」という強い確信。「これよりしんどいの乗り越えたことあるから!」という理由からでした。

 さらにある時は、ひどいムチャぶり案件を目の前にして「これ形になんのかな…なんなかったらどーすんだ…」とぼやき、ため息をつきます。しかしここでも次の瞬間、カッと降りてくるナニカが。それはここでも「でも大丈夫」という強い確信と、「これよりひどいムチャぶりたくさんあったから!!」という過去の経験からくる自信。

 漫画の中で横山さんは「“この状況は知っている”ってマジででかいと思います」というコメントで締めていますが、よせられたコメントにも「自分もそれで乗り切ったことあります!」「持ってる経験値はデカい」という賛同の声が続々と。一方で「そう思っていても加齢で頭も身体もついてこなくなるから無理は禁物」というアドバイスもありました。確かに……。

 未知なる修羅場を目の前にした時はただただ絶望しかありませんが、でも一度乗り越えた修羅場、もしくは前回より少しハードルが上がったぐらいならば、「前の経験から」で何となく乗り越えられそうな気になることって確かにあるある。しかも、少しハードルが上がっている場合にはその経験から、自分の経験値がさらにあがることも。

 ちなみに、乗り越えられそうになる時に降りてくる「カッ」という閃き。人によっては「テレレレッテッテレー」といったゲームのレベルアップ音が鳴る。という人もいるそうです。筆者は横山さんと同じく「カッ」タイプですが、編集部の別の部員はレベルアップ音でした。「前に経験した事ってそれだけで経験値が溜まる訳で、経験した事で次に同じ事が起こっても冷静に段取り汲みやすくなるスキルを獲得できると思う」という考えがあるからだとか。

 横山さんが紹介してくれた今回の思考。仕事以外に家族の事、ちょっとしたトラブルに遭遇してネガティブになりかけた時には、役立ちそうですね。例え経験がなくても、似た経験を思い出せばいいわけですし。何か問題に遭遇して解決しなければならないとき思い出して、真似してみれば少し気持ちが前向きになれるかもしれません。

<記事化協力>
横山了一さん(@yokoyama_bancho)

(宮崎美和子)