金曜日は猫目ユウの「ナナメ観!特撮映像館」「特撮映像館」88回目は、『大魔神怒る』をご紹介いたします。第1作の好評を得て制作された第2作は、よりみどこ満載の本格時代特撮映画になっています。

第1作『大魔神』の好評を得て同年8月に公開された第2作目。ちなみに第3作は同年の12月に公開されており、『大魔神』シリーズ3作は1966年内にすべて公開されている。


前作の安田公義監督と同様時代劇作品を多く手がけた三隅研次監督が担当し、時代劇作品としても重厚感のある仕上がりとなっていて、公開当時併映だった「座頭市シリーズ」のファンも納得する作品だったことだろう。一方特技監督は3作を通じて黒田義之が担当している。

基本的なストーリー構成はシリーズ3作同じだが、本作は1作目に対する「もうひとつの大魔神」と言っていいようなものになっている。また湖の中から登場し湖を真っ二つに割って進む大魔神は、さながら『十戒』のようでもある。

キャストは「ガメラシリーズ」にも多く出演した本郷功次郎に、『ガメラ対ギャオス』等に出演した丸井太郎、『妖怪大戦争』で印象的な役を演じた神田 隆と、大映特撮らしい俳優陣。クライマックスに大魔神が目覚めるまでは本格時代劇としてじっくりと鑑賞できる。

それにしても怒りの形相に変わる大魔神のシーンは何度見ても迫力があるし見応えもある。DVDやブルーレイで気軽に鑑賞できる環境になっている現在ではあるが、劇場の大きなスクリーンで鑑賞したいシーンと言っていいだろう。また本作ではセットも破格の豪華さであったようで、その点でも劇場でじっくり観たい作品といえるだろう。

湖から現れた魔神は水となって消える。シリーズ中でも一番印象的な気がしている。

監督/三隅研次 特技監督/黒田義之
キャスト/本郷功次郎、藤村志保、丸井太郎、神田 隆、ほか。
1966年/79分/日本

(文:猫目ユウ / https://suzukaze-ya.jimdo.com/)