アメリカ海軍のフリーダム級沿海域戦闘艦の13番艦「マリネット(LCS-25)」が、2019年3月27日(現地時間)、艦名の由来の地であるウィスコンシン州マリネットの造船所で建造を開始しました。起工式では船のスポンサーである元ミシガン州知事のジェニファー・M・グランホルム氏のサインが、船の背骨である構造材「キール(竜骨)」に取り付けられました。

 ウィスコンシン州マリネットの名前がアメリカ海軍の艦艇に使用されるのは、ナティック級大型タグボート(YTB-791)に続いて2隻目。戦闘艦としては初めてとなります。1967年~2005年に活躍したタグボートのマリネットも、1966年に同じウィスコンシン州マリネットにあるマリネット・マリン(現:フィンカンティエリ・マリネット・マリン)の造船所で建造されています。

 3月27日、フィンカンティエリ・マリネット・マリンの造船所で行われた起工式では、船のキールに取り付ける記念の「キールプレート」に、スポンサーである元ミシガン州知事のジェニファー・M・グランホルム氏がイニシャルのサインを記入。これをもとに係員が溶接用のトーチを使って、プレートにサインの筆跡を溶接しました。

 グランホルム氏は、溶接作業の様子をすぐそばで興味深そうに見つめます。無事作業が終わると、両手を上げて喜びを表現しました。




 1942年に操業を開始したこの造船所では、これまで数々のアメリカ海軍の艦船が誕生しています。フリーダム級の建造に限っても16年を超え、現在も7隻が同時に建造作業に入っているという、LCS計画における重要拠点。この起工式において、フィンカンティエリ・マリネット・マリンのジャン・オールマン代表取締役兼CEOは「マリネットの建造をワクワクした気持ちで迎えています。造船所としては、職人の誇りとともに鉄板を軍艦へと姿を変える工程を手掛けているわけですが、この造船所のある土地の名前を冠した艦船の建造に携われるということは、最上級の名誉です」と述べています。

 ロッキード・マーティンとフィンカンティエリ・マリネット・マリンは、2019年1月にLCS-31となる新たなフリーダム級沿海域戦闘艦を受注したばかり。これからもフィンカンティエリ・マリネット・マリンはフル操業で建造を続けることになります。

Image:Lockheed Martin

(咲村珠樹)