中東のバーレーンで2022年1月31日(現地時間)、アメリカが主催する国際海上共同訓練「カットラス・エクスプレス(IMX/CE22)」が始まりました。

 この訓練は、日本の海上自衛隊を含む60以上の国と組織が参加する中東最大級のもの。様々な無人機も参加し、その数は世界最大級の訓練となっています。

 IMX/CE22(International Maritime Exercise/Cutlass Express)は、アメリカ中央軍海軍部隊(NAVCENT)が主催して毎年実施される国際海上共同訓練(IME)と、アメリカ欧州アフリカ海軍(CNE-CNA)が主催し東アフリカ沖のインド洋で行われる恒例の共同訓練「カットラス・エクスプレス(CE)」を複合して実施するものです。

 主催するアメリカ海軍部隊の担当地域は、中東からアフリカ・ヨーロッパまでと非常に広大な範囲。このため参加する国と組織も、主催国アメリカや拠点となるバーレーンのほか、中東を含むアジア、ヨーロッパ、アフリカ、南アメリカにNATO、国際刑事警察機構(INTERPOL/ICPO)など60以上に及びます。

参加国・組織のリスト(画像:U.S.Navy)

 訓練の参加艦艇は約50隻、参加人員も約9000人と非常に大規模なもの。訓練全体の指揮をとるアメリカをパキスタンとイギリスが補佐し、中東から東アフリカまで5つのタスクフォースが組織され、訓練が実施されます。

IMX/CE22の概要(画像:U.S.Navy)

 日本からは、海上自衛隊のインド太平洋・中東方面派遣(IMED21)部隊の掃海母艦うらが、掃海艦ひらどの2隻が参加。各国と機雷敷設戦や対機雷戦の訓練を行う予定です。

掃海母艦うらが(画像:U.S.Navy)

 初日の1月31日、バーレーンに集まった各国部隊の指揮官は、バーレーンのサルマン皇太子兼首相を招いて訓練開始の式典を開催しました。

バーレーンのサルマン皇太子(画像:U.S.Navy)

 今回のIMX/CE22では、様々な無人機(ドローン)が訓練に参加するのも特徴です。空中、海上、海中に、合わせて80以上もの無人機が訓練に投入され、これは世界最大規模。

訓練に参加する無人機の紹介(画像:U.S.Navy)

 訓練開始式典では、バーレーンのサルマン皇太子が訓練に使用される空中無人機「GHOST 4」などを視察。CHOST 4はVRヘッドセット「Oculus」の創業者、パルマー・ラッキー氏が設立したAnduril Industriesのヘリコプター型無人機です。

GHOST 4を視察するサルマン皇太子(画像:U.S.Navy)

 訓練のホスト役となるアメリカ中央軍海軍部隊の司令官、ブラッド・クーパー中将は「このレベルにおける参加国代表は、国際秩序に則ったルールを維持する意志を共有しています。この訓練は私たちの関係を強化し、能力と相互運用性を高めるまたとない機会です」とのコメントを訓練開始に際して発表しています。

 訓練の日程は、2月17日までの18日間。普段なかなか交流する機会のない国々の部隊とも一緒に訓練でき、参加者にとっては得難い経験をもたらすことになるでしょう。

<出典・引用>
アメリカ中央軍海軍部隊(第5艦隊) ニュースリリース
海上自衛隊 プレスリリース
画像:U.S.Navy

(咲村珠樹)