主に相模湾を拠点に深海調査を行っている「深海魚ハンター」こと「西野勇馬」さんが、手動による釣りでは世界初!?とも言われる「イチハラビロウドザメ」を捕獲したとX(Twitter)で報告しました。

 目撃例自体が少ないのももちろんですが、国内での報告の多くが駿河湾という本種が、相模湾で発見されたということも極めて稀な例。この釣果にはサメに詳しい方からも、驚きの声が相次いで寄せられています。

深海魚ハンター西野勇馬さん 超激レア深海ザメ「イチハラビロウドザメ」を捕獲

 イチハラビロウドザメは、西野さんをしても「超激レア」と言わしめるほどの珍種。国立科学博物館の専門的な資料データベースや、Web魚図鑑などの魚類写真投稿サイトなどにも画像がほぼ登録されていない、まさに深海魚ファンらの憧れの的なのです。

イチハラビロウドザメ

 この日の天気は晴れ。いつも通り船に乗って深海調査に出掛け、釣り糸を垂らしていたところ、水深640mのところでヒットします。即座に反応した西野さんは手動で釣り糸を巻き上げること約15分、これといよいよご対面。

 海面に上がってきた瞬間のシルエットから、比較的目撃例の多い「ユメザメ」だと思ったそうですが、取り込む際、体表の鱗の様子や、口を開けた時に一瞬見えた歯の形状から「これはユメザメでは無い!」と確信。詳しく調べたところ「イチハラビロウドザメ」と判明したとのことでした。

ユメザメとは異なる歯の形状

 当時の心境を「【速報】今日はヤバいかも」と即座にXに投稿した西野さん。実はここのところ思ったような釣果が出ず、ちょっとしたスランプに陥っていたようで、この日も不安を抱えながらの調査でした。だからこそ、今回の出会いは、より一層感激したようです。

透き通った目

 なお、今回釣り上げたイチハラビロウドザメは、重さは5.2kg、全長98cmの個体となっており、「神奈川県立 生命の星・地球博物館」へ寄贈されます。また、国際ルール(IGFAルール)に則った釣果のため、今後日本記録及び世界記録に申請を予定しているとのこと。

 イチハラビロウドザメを釣り上げる様子は西野さんのYouTube「西野勇馬【深海魚ハンターチャンネル】Deep Sea Fish Hunter Channel」にも動画がアップされており、その興奮の様子が伝わってきます。

<記事化協力>
西野勇馬【深海魚ハンター】さん(@nanukazame1

(山口弘剛)