コロナ禍から続く様々な感染症の発生で、思わぬところから病原を拾ってしまって発熱してしまった……そんな人が増えています。

 こんな状況の中、受診を渋りたいのか、クリニックの受付に医療相談の電話をかけてくる人がいる、といったツイートに同業の皆さんが共感の声を上げています。

電話(絵文字)「ちょっと聞きたいんだけど…アレルギーって普通は鼻水とかだよね?熱が出ることってある?」

私「すみませんがお電話でお答えできないので…」

電話「いや、だから一般的な話でいいから教えてよ。アレルギーで熱って出る?」

#医療事務

なんなの医者の知識を無料で気軽に電話で得ようとするな?

■ 同業からは「あるある」の反応

 そんなつぶやきを投稿したのは、クリニック医療事務員さん。

 クリニックや病院の外来で電話対応をするのは医療事務の方々。多少の医療知識はあったとしても、専門的な事はもちろん、一般的な医療の話も受け答えはできません。なぜなら医師ではないから。

 筆者は看護師ですが、外来で勤務している時にやはり似たような経験が何度かありました。受付が忙しい時は看護師が代わって電話応対する事もままあります。

 そして、似たように「一般的な事でいいので」などと電話口で粘られた事もしばしば。そんなに安心したいのなら受診してください……(何度「そのお手にお持ちのスマホやPCでググりやがれ下さい」と言いかけたか)。

 なお、今回のクリニック医療事務員さんの投稿には、同業の皆さんから「あるある」的な反応が。そうでない方からは「熱が出て不安なのでは?」という反応もありましたが、筆者の経験上きっちりと「受診に来てください」と言っても「一般的にはどうなの?先生にかわって?」と粘る人も少なからずいます。

■ とにかく「一度診察を受けに来てください」

 医療事務でも看護師でも、こういう時にお答えすることは大体同じで「一度診察を受けに来てください」。

 電話での診察もやってやれなくはないです。が、クリニックでも総合病院でも電話診療は医師が行うものであり、突然の電話での診療はよほど余裕がある時でないと対応できないのが現状でしょう。

 クリニック医療事務員さんがお勤めの職場でも、院長の指示により事務が治療に関する内容について電話で話すことは禁じられています。これはどのクリニックでも同じでしょう。

 電話やオンラインでの診療についても、予約して行うのが基本。待合室でずっと待っている患者さんは予約で来院されている人が多く、飛び込みで受診する人はそれなりに待ち時間が発生します。

 電話やオンラインでの診療も同じで、当日に電話診療をお願いすることになったとしても医療機関側の混雑状況と予約状況から予約時間をセッティングし、医療機関側から予約時間に電話をするなどして対応します。もちろん診察にかかる費用は発生します。

 コロナ患者が大量発生していた頃は週に数回「普通、コロナだったらどんな症状?」みたいな問い合わせの電話が来ていたというクリニック医療事務員さんの職場でも、現在は月に数回程度となったそう。

 情報があふれかえっているネットの海の中にはいわゆる「トンデモ」な医療やセラピーも蔓延しており、どれを信じたらいいのか分からない人も多いことでしょう。

 だからこそ、ちょっと何か不安だな、体調がおかしいなと思ったら医療機関に直接足を運んでください。医療のプロと対面し、会話を交わすことが一番の治療となりますよ。

<記事化協力>
クリニック医療事務員さん(@hana52012896)

<参考>
厚生労働省「オンライン診療に関するホームページ」

(梓川みいな・正看護師)