ファンタジーものを中心に、多くのフィクションに登場する「羽のあるキャラクター」。言葉にするとシンプルですが、その姿のビジュアル表現には多彩なバリエーションがあって迷うくらい。

 イラストレーターの宮端巳代治さんは、キャラ造形に役立ちそうな「羽アイデアまとめ」画像を5年ぶりにアップデートし、Twitterに公開。自分好みの羽表現が見つかるかもしれません。

 もともとこの種の比較画像やカタログのような一覧を作るのが好き、という宮端さんが最初に「羽アイデア」をまとめたのは5年前。その時から時間が経っていることもあり、当初の目的についてはよく思い出せない……と言いつつも、次のように話してくれました。

 「そのときはおそらく、羽の形状やそのデザインのもとになった動物の種類だけでなく、生え方・付き方にも個性が出せるということに気づき、一覧としてまとめてみようと考えたのだと思います」

 それぞれ描かれた16種類の「羽」を見てみると、たとえば同じ「鳥の羽」であっても種類によって形や大きさが変わり、妖精や精霊によく使われる昆虫のものなども含めると、共通点は「羽がある」くらい。まるっきりフィクションである「羽状のもの」を含めると、そのバリエーションは実に多彩であることが分かります。

 「画像にまとめたのは16種類ですが、羽の形状(種類)、枚数、生える位置、色柄などを変えればこれに収まりきらないバリエーションが生み出せます。羽ひとつのデザインをとっても己の創造性や個性、あるいは知識が試されるということをクリエイターとして痛感しました」

宮端巳代治さんによる「羽アイデアまとめ」改訂版のツイート(スクリーンショット)

 5年前に最初の「羽アイデアまとめ」が公開されたのですが、今回リメイクしたのは、その画像が「私に似合う羽はどれ?」というような文面をつけて、無断で使われていることを知った、というのが理由のひとつだそう。宮端さんは「イラストの資料という本来の用途から外れた使い方に困惑していました」と語っています。

 無断使用の例は1年ほど前の2022年ごろから海外のTwitterユーザーに広まり、2023年の年明けからまた目につくようになったのだとか。すでに無断使用していた当人とは連絡がつき、宮端さんの納得できる条件で着地したそうですが、これを機に「あまりしっくりきていなかった」という英訳も再検討し、改訂版としたといいます。

 また、このまとめ画像とは別に、同じく画像の無断転載に悩んでいたほかのTwitterユーザーが実行していた例を参考に、ハッシュタグ「私のイメージに合う羽はどれですか」や「TellMeWhichWingsSuitsMe」をつけて転載してもいい画像も公開されました。

ハッシュタグ「私のイメージに合う羽はどれですか」や「TellMeWhichWingsSuitsMe」をつけて転載可の画像(宮端巳代治さん提供)

 こちらの画像には推奨ハッシュタグが同時に記載されており、ちゃんと「転載可」であることが示されています。とはいえ、あくまでも良識の範囲で使うようにしたいですね。

 それにしても「羽状の何か」を身につけたキャラクターというのは、描く側のイマジネーションによって無限の可能性を感じさせてくれるものだということが分かります。もちろん、宮端さんが示した16種類はあくまでも一部に過ぎず、これを参考に独自の「羽キャラ」が数多く生まれることを期待したいですね。

<記事化協力>
宮端巳代治さん(@38miyoji)

(咲村珠樹)