空想をもとに描いた「未来のコンビニ弁当」がツイッターで話題になっています。

 「昔ながらののり弁」と書かれたパッケージを開くと、ラッピングされた本格のり、そして四角いコロッケや白身フライが目に入ります。脇には、タルタルソース”風味”の容器や、”母なる地球を感じる”塩など、表記から宇宙時代を感じさせるものも。一方で見覚えのある魚の醤油容器も。現代と未来のつながりが絶妙な作品となっています。

 イラストを描いた、SFメカデザイナー「蒼衣わっふる」さんにうかがうと、創作の上で特にこだわったポイントは「容器の蓋の”ここをひっぱる”加熱機構”」と「お弁当のホログラフィック・セロハン」「ランチャーム(醤油容器)」の3つ。

 加熱機構については、現代のお弁当にも一部採用されている場合がありますが、未来ではこれがスタンダードになっている模様。パッケージに貼られた太陽光式の発熱チャージャーにより、レンジ不要で温め可能です。これは便利!

 「昔ながらののり弁」のセロハンラベルは、駅のサイネージのように映像が動画で流れる仕様になっているのだそう。「1Gで育ちました」の文言も秀逸ですが、「ショウヒキゲン」がデジタルで表記されるのはありがたいですね。未来のお弁当は約3か月保存できるようです。

未来のコンビニ弁当パッケージ

 そして、未来になっても変わらず健在の「ランチャーム」。現代でもおなじみの調味料容器ですが、その完成度の高さからこれ以上は進化しないであろうと、そのままの形で残すことにしたとのこと。

 その他にも、食材を一度粉砕後、四角く成形されたフライやコロッケ、細かく刻んで固められたきんぴらなど、見どころは満載。西暦2195年の生活がどのようなものか、筆者には想像もつきませんが、食材はより貴重になり、見た目以上に味の再現に力が入れられている、といったところでしょうか。

未来のコンビニ弁当の中身

 さまざまな想像が捗る作品には、1万件を超える「いいね」が付き、「この時代では普通のアジフライとか鳥の唐揚げは上流階級しか食べられなさそう」「無重力産が主流の中、1G産は食べ応えありそうですね!」といった、遠い未来の生活に思いを馳せるコメントが続々寄せられています。

 作品への反響に対し、「様々な捉え方でこのお弁当を分析してもらえればと思っていたので嬉しかったです」と感想を述べた蒼衣さん。

 元々貿易関係の仕事をしていた蒼衣さんは、今年からフリーのイラストレーターに転身し、現在はゲームのメカデザインや背景制作を主とした活動を行っています。

 戦車や飛行船、戦艦等を始めとする緻密な作風が特徴の蒼衣さんが、今作を描いたのは自身に課した「新たなチャレンジ」のため。フリーとなった今、得意のスタイルを活かしつつ、どうやって需要のある作品を描いていけるかという実験を兼ねた創作だったのだそう。投稿に寄せられた反響の大きさを見ると、その試みは大成功と言えそうです。

<記事化協力>
蒼衣わっふるさん(@aoi_waffle

(山口弘剛)