東急電鉄は2021年10月1日、田園都市線を中心に活躍し引退が近づく8500系電車の特別販売を実施すると発表しました。台車を含めた車両まるごとをはじめ、先頭部のカットモデル、運転台や車体側面のコルゲート部など、バラエティに富んだ品揃えとなっています。

 1977年開業の東急新玉川線(現:田園都市線)と地下鉄半蔵門線乗り入れ用として、1975年に登場した8500系電車。東横線などで1969年から運用されていた8000系電車を基本に、地下鉄乗り入れ仕様として様々な改良が加えられて400両が導入され、一時は東急最大の勢力となりました。

 その後、2002年の5000系(2代)投入により置き換えが始まり、2018年の2020系投入でさらに引退が進んだ8500系。2021年10月1日現在では残り4編成となっています。

 これまでも8500系の車号板やつり革など、廃車部品の販売は実施されてきたのですが、新たな企画として、今後廃車予定の8622編成、8630編成の車両で、車両まるごと1両や先頭部分のカットモデル、運転台の販売をおこないます。あわせて、8500系を特徴付ける車体側面のコルゲート部も販売することに。

 販売品と販売金額、販売方法は以下の通りです。

■ 車両販売(対象車両:8522号・8622号・8530号・8630号)

1. 車両1両(台車・床下機器含む)
販売価格:176万円(消費税等含む)

8500系先頭車

2. 先頭部分カットモデル
販売価格:2420万円(消費税等含む)
・車両先頭部を希望の長さにカットし、切り口などを加工した上で販売
※1.で完売した場合は販売なし

先頭部分カットモデルの一例

3.運転台
販売価格85万円(消費税等含む)
・運転台部分を車体から取り外し、各パーツを分解した状態で販売
・希望者には乗務員座席、電圧・電流計などの計器盤、正面貫通扉の車号板もお渡しします(車号の指定はできません)
※1. 2.で完売した場合は販売なし

8500系の運転台
正面貫通扉の車号板

 販売価格のほかに、以下の費用が別途必要となります。

1. トレーラー等での輸送費用
2. 設置場所での車両降ろし用クレーンチャーター費用
3. 設置場所の整備費用(レール・枕木・砂利・屋根の設置など)
4. 設置費用
5. 組み立て費用(運転台を購入の場合)
6. 購入後、継続的に必要なメンテナンス費用

 車両販売に関しては、購入にあたり様々な制約があることから、東急電鉄内で審査の上、車両を適切に保存することが可能と判断できる方への販売となり、別途「売買契約」を締結するとのこと。また、8622号・8630号は感電事故防止のため、非常用バッテリーを取り外した状態での販売となります。

 販売はメールでの申し込みとなります。件名に【8500系車両購入希望】と入力し、メールを「tkk8500forsale@tkk.tokyu.co.jp」へ送信してください。本文には、以下の項目を記入します。

a. 希望の商品(車両1両・先頭部分カットモデル・運転台)
b. 設置場所の住所
c. 指名(法人の場合は法人名)
d. 住所(法人の場合は住所・担当部署・担当者名)
e. 商品1.(車両1両)を希望の方のみ希望の車号
f. 電話番号

 受付は先着順で、締切は以下の通りです。

8522号・8622号……2021年10月20日(メール着信締切)
8530号・8630号……2021年11月20日(メール着信締切)

■ 車体側面コルゲート部カット販売(8622編成、8630編成のものではありません)

1. 車体側面コルゲート部カット(縦横30cm程度カットしたもの)
・販売価格:5万5000円(消費税等含む)
・販売数:300個

カットされたコルゲート部

2. 特別記念セット(車体側面コルゲート部カットに社号版、製造所銘板をセットにし、座席シート生地で梱包したもの)
・販売価格:8万5000円(消費税等含む)
・販売数:50セット
※車号版の車号、製造所銘板の字体や年代などの指定はできません)

8500系側面車号板
東急車輛の製造所銘板
シートモケット生地で梱包

 販売はWEB販売サイト「TOKYU STYLE」での販売となり、2期(第1期販売:2021年11月下旬予定/第2期販売:2022年1月下旬予定)に分けての販売となります。各期の販売数は、準備が出来次第「TOKYU STYLE」にて案内するとのことです。

<出典>
東急電鉄株式会社(ニュースリリース
※誤字を修正しました。

(咲村珠樹)