フランスのモン=ド=マルサンを舞台に、2021年5月17日より3か国共同訓練「アトランティック・トライデント」が行われています。フランス空軍のほか、アメリカのF-35A/B、イギリス空軍のユーロファイター・タイフーンなど40機以上が集まり、異機種間における空中戦や共同作戦シナリオを通じ、相互の理解と連携を深めます。

 2010年から始まった共同訓練「アトランティック・トライデント」は、大西洋を挟んで存在するフランス、イギリス、アメリカの戦闘機部隊が集結し、互いの特性を学び合うと同時に相互運用性を向上させることを目的に実施されるもの。開催地は3か国による持ち回りとなっており、2021年はフランスの第118モン=ド=マルサン空軍基地を拠点とし、航空攻撃や迎撃戦などの訓練シナリオを通じて、3か国が一体となって作戦運用するノウハウを学びます。


 ホスト役となるフランス航空宇宙軍から参加するのは、第30航空団と第4航空団に所属するラファールF3-R、計12機が主力となります。このほか、8機のミラージュ2000やE-3早期警戒管制機、空中給油機などが訓練をバックアップします。


 イギリス空軍から参加するのは、第XI(F)飛行隊のユーロファイター・タイフーン。このほか空母クイーン・エリザベスのF-35B(第617飛行隊)や、空中給油機ボイジャーも参加します。

 タイフーンはフランスに滞在せず、毎日ホームベースのコニングスビー空軍基地から英仏海峡を越えて訓練に通うという形式です。ちょっと変わった形ですが、距離の近い隣国だからできることなのかもしれませんね。

 アメリカからはユタ州のヒル空軍基地から、第388戦闘航空団の第4戦闘飛行隊に所属するF-35Aがやってきました。F-35の実戦部隊がフランスへやってくるのは、これが初めてのこと。また、イギリス海軍の空母クイーン・エリザベスに派遣されているアメリカ海兵隊VMFA-211のF-35Bも、訓練に参加しています。


 5月20日には、参加各国の司令官がモン=ド=マルサン基地を訪問。訓練の様子を視察するとともに、指揮官同士の交流を深めました。


 在欧アメリカ空軍司令官のジェフリー・ハリジアン大将は「これはフランスでF-35を初めて運用する絶好の機会です。私たちはすべてのレベルでそれぞれの技術や戦術について話し合い、絆をより強化する必要があります。それこそが成功の鍵なのです」と語り、3か国で共同訓練する意義を強調しています。

 イギリス空軍コニングスビー基地司令官のマット・ピーターソン大佐は「アトランティック・トライデントは相互運用性を高め、味方と一緒に戦う可能性がある戦闘に備えることができます。参加国は知識とスキルを持ち寄り、そのアンサンブルによって一緒に強くなることができるのです」との見解を示しました。

 3か国の戦闘機は実際に2018年、中東で共同作戦が実施されており、その際にはこの訓練のノウハウが活用されたといいます。共同訓練「アトランティック・トライデント」は、第118モン=ド=マルサン空軍基地で5月28日まで実施され、参加部隊の撤収は6月4日までに終わる見込みです。

※誤字を1か所修正しました。

<出典・引用>
フランス航空宇宙軍 ニュースリリース
Image:USAF/フランス航空宇宙軍

(咲村珠樹)