大容量の商品を低価格で提供している量販店である「業務スーパー」。近年は品質も大幅に向上し、各種メディアにも登場し人気を博しています。

 そんな業務スーパーといえば、他のスーパーとは違った個性的な品ぞろえもまた特徴的。それを用いたアレンジレシピも度々話題を呼ぶのですが、先日Twitter上で投稿されたレシピ漫画も、ちょっとした反響を呼んだんです。

『「第21話 豆腐皮スナック」
 業務スーパーの冷凍コーナーにひっそり置かれている豆腐皮はレンチンすると低糖質スナックになります
レンジで水分飛んで想像以上にサクサクになるのでやってみて欲しいです 作画協力 たけなかみき 』

月に2回Twitter上で簡単レシピ漫画を投稿する原田さんが投稿した「豆腐皮スナック」。

 Twitter上で月2回、お手軽レシピ漫画「うちで食べるのが好き」を掲載している漫画家の原田ゆうじさん(以下、原田さん)。この日自身のTwitterに投稿したのは、その第21弾である「豆腐皮スナック」。

 漫画内において、2人の女性キャラが「豆腐皮」という商品を使用して、お手軽おつまみを作る……というのが大まかなストーリー展開なのですが、今回の題材の「豆腐皮スナック」というのが、「めっちゃスナック感は感じられるのに、低糖質で『罪悪感』を感じさせないビールが消えていくヤバいヤツ」なんだそう。

 「『コロナ禍』で外食が難しくなったというのあり、自炊経験がさほどなくても簡単においしく作れるレシピ漫画があればという考えから、継続して掲載しています」という原田さん。

 その中で、「使い方が分からない食材の調理法が知りたいという声をいただいて」ということもあり、今回選んだ題材が先述の「豆腐皮」。

 「豆腐皮?聞いたことないなあ。どんな食材なんだろう?」

 私事ですが、筆者は長く食品関係の企業にて、様々な業務を担っていた人間。それなりの知識を有していると自負しています。また個人的にも、原田さんの「うちで食べるのが好き」シリーズは、前々から楽しく拝読していたのですが、今回のストーリーにはいつも以上に気になる内容。

 「ふむふむ、解凍して細切りにして、コンソメとかの好きなフレーバーをかけてから、クッキングシートを敷いてレンチンするだけか。これはおもろそうや!試してみる価値大アリやで!(註:筆者は生粋の関西人です)」

 ということで、筆者は“業スー”に足を運び、ブツ(豆腐皮)を購入。原田さんの許可を得たうえで試してみることにしました。

■ 業務スーパーの冷凍コーナーにホントにひっそり置かれていた

 原田さんの「つぶやき」にあった「業務スーパーの冷凍コーナーにひっそり置かれている」という説明。実は筆者、身をもって体感しました。と言いますのも、今回豆腐皮を購入した業務スーパーは2軒目に回った店舗。最寄りにある1軒目の店舗には、なんと取り扱いはありませんでした。

 ちなみに2軒目の店舗は、規模的にも大型店に分類される店舗だったのですが、そこでも売り込みを行っている形跡もなく、ただポツンと陳列されているのみ。なるほどこりゃ確かに「ひっそり」ですわ……。

2軒目に回った業務スーパーにひっそりあった豆腐皮。

 余談ですが、豆腐皮の価格は500グラム入っていて税込み価格で300円でした。

ちなみに500グラムで300円でした。

 さて、「モノ」は確保したということで自宅に戻った筆者。折角なので、少しパッケージを確認します。裏面には、「高菜と豆腐皮の炒め物」というアレンジレシピ情報が文字のみで記載。さらに中央下にあるQRコードからは、業務スーパーのレシピサイトに飛ぶ仕組みに。また原材料については大豆オンリーのようですね。そりゃそうだ。

裏面には調理例の記載。

下部には業務スーパーのオフィシャルレシピサイトに飛ぶQRコードが。

 このまま調理に入りたいのですが、ただこの「豆腐皮」は解凍する必要がある食材。この日は撮影まで行い、調理は後日実施することに。

■ いよいよ「豆腐皮スナック」作り

 調理当日。事前に半解凍させてた豆腐皮を、必要分だけカットします。

調理は日を改めて実施。まずは豆腐皮を半解凍状態に。

まずは必要分だけカット。

 うおっ、これは本当に「皮」だ。それでいて、ザラザラした表面+見た目もあってまるで木綿豆腐みたい。これを何層も重ねて冷凍しているようです。いやあ面白い形をしています。世の中には色んな食材があるんだなあ。

何層もの皮を重ね合わせて冷凍した商品の様子。

ペロッと1枚めくってみました。

 そしてこの豆腐皮、全体では雑誌の袋とじのように、両端がピッチリくっついていました。どうも重ね合わせ豆腐皮のまわりを、さらに大きな豆腐皮で包んでいるようです。片面だけ切ってみると本の冊子みたい。

重ね合わせた皮の上から覆いかぶさるかのように、大きめの皮で内包している模様。

 いつまでも形に見とれていても仕方ないので、細かくカットしていきましょうトントントンと。皮を重ね合わせたままの状態だと、見た目は細かく切った豆腐。とはいえ、ベロンとめくっていくと皮です。

皮を重ね合わせた状態だと、細切りした豆腐。

とはいえこれは豆腐皮。皮が重なっています。

1枚1枚はまさに皮。でも味は豆腐でした。

 そういえば豆腐皮ってどんな味なのかも気になるところ。なので、ここで少々味見をとモグモグ。あ、こりゃ豆腐の味だ。といっても皮なので、ギュッと凝縮された味。解凍品なので当たり前な話でもありますが、意外に水分が含まれています。といっても所詮は「素材」。このまま食べるものではないようです。

 さて、必要分カットが終わったので、用意していた市販のポリ袋に均等に入れていきます。

「フレーバー」をかけて混ぜ込んでいくためにポリ袋に入れました。

 続けて味付け用の「フレーバー」も準備。ちなみに今回の原田さんの漫画では、コンソメを使用しています。

原田さんの漫画で試されていたのはコンソメ。

 今回筆者は、コンソメに加えて新たに2つの「フレーバー」を用意。まずは「甘味」としてシナモンシュガー。

「甘味」だとどうなると検証するためにシナモンをチョイス。

 もう1つは、少々チャレンジングなチョイスにしようと、永谷園のおとなのふりかけに。

残り1つは冒険心も込めてのおとなのふりかけ。

 このシナモンシュガーとふりかけの選定理由ですが、「手に入りやすいもの」ということも重視しています。料理というのは、ちょっとばかしの冒険心が大切。しかし一方で、誰も真似できないような原材料や調理方法で試しても、それは独りよがりの自己満足。高級料理店ならそれでも構いませんが、家庭料理ですと「簡便(簡単・便利)」がいつの時代も大正義。それでいて楽しく作れると尚のこと良しです。

 と、御託はこの辺にして、コンソメ・シナモン・ふりかけをそれぞれのポリ袋に適量(ふりかけは1袋まるごと)入れ、そのままフリフリさせて豆腐皮に馴染ませていきます。

用意した「フレーバー」を豆腐皮に適量いれていきます。

シナモンシュガーは粉が吹き飛ばないように注意。

ふりかけは1袋まるごと投入。

 ところで、この動作って妙に楽しく感じるのは筆者だけでしょうか?フリフリ~。

豆腐皮に馴染むまでひたすら振っていきます。

 途中モミモミしつつ、適度になじませたら、平皿に敷いたクッキングシートの上にのせます。何分初めてなもので加減が難しいところですが、ある程度は広げたほうがよさそうです。

クッキングシートを敷いた平皿に盛り付け。

 広げた後はいよいよレンジに投入。ちなみにラップはかけていません。調理時間は「600ワットに3分」ポチっとな。

いよいよレンジへ。

 「チーン」

 出来上がりましたね。どんなもんかチェックしましょう。おおー、思ったより縮んでいました。皿の中で全体的に中央に寄ってしまっていますね。もうちょっと広げるべきだったかなあ?

わずか3分間のレンチンで豆腐皮は収縮。

水分が飛んで、形状にも変化が。

 少しほぐして盛り付け直してみました。さて、味はどんなもんかなパクッ。

ほぐして改めて盛り付け。さて、お味はどんなものかな?

 お、こりゃいける!コンソメなので、調理前はポテトチップスを連想していたのですが、それよりは淡白な味になっています。油で揚げてないのと、元来の低糖質が影響しているのかも。ただ、コンソメの味はしっかり感じます。それにしてもこれ旨いわムシャムシャ……。

 っと、まだ他を試していなかった。お次は甘味系のシナモンシュガー。先ほど同様にクッキングシートを敷いて豆腐皮をのせてと。ん、思ったより多く入れすぎているな……(焦り)

お次はシナモンシュガー。クッキングシートを敷いた平皿に広げていきます。

 そして、先ほどと同条件(600ワット3分)でレンジ調理。ポチっとな。

同条件でレンチンしました。

 今回はさっきよりも広げたためか、「中央寄せ」は改善されました。さてさてどんな具合かなモグモグ……。むむ、これは味が飛んでしまっていますね。それにコンソメのときのようなパリッとした食感でもない。平皿に盛るときは、ある程度豆腐皮は重ね合わせた方がいいのかもしれません。

シナモンシュガーは何とも言えない出来栄えに。

 実は筆者、甘味系パウダーは、レンジ調理とはあまり相性は良くないかなと思い、トーストなどで使用するシナモンシュガーを選んだという経緯もありました。そして、ある意味で予想通りの結果に。ひょっとしたら「後がけ」の方がいいかもしれません。ココアパウダーなども相性いいかも?

 では最後に、チャレンジ用にチョイスした永谷園のおとなのふりかけ。ちなみにこれを選んだのには、ちょっとした理由があります。それは容易に手に入りやすいのもありますが、もう1つはフレーク状ではなく固形感のあるふりかけということ。これにより、味が馴染みやすいのと、純粋に「映え」の面も優れているのでは?と仮説を立てたためです。

最後は第六感で決めたおとなのふりかけ。

 果たしてそれが正しいか、これまでと同様の準備をしてレンジ調理。ポチッとな。ちなみに盛り方ですが、先ほどよりも少しだけ山なりにしています。チーン。

3分後。お、これはいい香り!

 さーてどんなもんかな?ん、いい香り!やはり熱々のごはんにかけることが前提なので、多少の熱だと相乗効果ですね。見た目も悪くありません。

馴染み具合もグッド。これはおいしいやつでは!?

 では味はどうかなとモグモグ……。おっ、これはなかなかイケるぞ!今回紅鮭味を使用したので、海苔と鮭のかぐわしい香りに、固形感のある鮭ふりかけが、淡白な豆腐皮に上手く絡んで引き立たせていますね。豆腐皮自体がシンプルな味わいなので、ふりかけですと、香味感と味の主張の強い「わさび味」あたりもいいのではないでしょうか。これ、ビールがあったらいい感じに消えていくやつやでムシャムシャ……(註:筆者は昼間に調理をしました)。

 一方、反省点としては、コンソメやシナモンシュガーと違いフレーバーの量目調整がやりづらいので、使用する豆腐皮の量目を逆算する必要があることですね。これはまだまだポテンシャルがありそうです。

 と、貪りながらの調理になってしまった。最後に小皿に盛り付けて比較してみましょう。

■ 3つのフレーバーを試した結果

最後は小皿に盛り付けて比較。

 「結果発表」としましては、原田さん考案のコンソメは「鉄板」、シナモンシュガーは「要改善」、ふりかけは「今後に期待」というような結果でした。作りながら感じたのですが、トマトパウダーなどの洋風系、ウェイパーなどの中華系もいいかもしれません。

 先述の通り、今回筆者は再現するにあたり、「家にあるもの(=手に入りやすいもの)」を重視したのですが、この「豆腐皮スナック」は、なかなか幅のある料理ではないでしょうか。

 加えて「豆腐皮」というのも、実に興味深い食材です。そんなものをひっそりと陳列している業務スーパー……やはり奥深いぞ!ただこの食べ方ですと、同時に陳列されていた「豆腐皮スライス」の方が手間が省けるのかな?とも考えてしまいました。ただ、スライスタイプに関しては、原田さんによると「豆腐皮」以上に取り扱い店舗に差があるとのこと。

 余談ですが、原田さんの「うちで食べるのが好き」シリーズですが、そんな業務スーパーの登場頻度が最も多かったりします。これはファンの筆者も、定期的に業務スーパーの定点観測を行う必要がありそうですね。ごちそうさまでした。

<記事化協力>
原田ゆうじ@ご飯マンガ連載中さん(@IMAGINI_MAX)
たけなかみきさん(@nokoshioekaki)
※編集部註:「うちで食べるのが好き」シリーズでは、原田さんは原作演出を担当。イラストに関しては、たけなかみきさん(@nokoshioekaki)が担っております。また原田さんは、様々な漫画制作に加え漫画専門学校の講師や、作品に対するマーケティングなどのサポート業務を務めるなど、その活動範囲は多岐にわたります。

(向山純平)