10月20日は国際的な料理人の団体、世界司厨士協会連盟が定めた「国際シェフの日(Chefs Day)」。この日を祝い、ロシア軍では各地で調理兵たちが腕によりをかけた料理を作り、兵士たちに提供しました。

 世界司厨士協会連盟(WORLDCHEFS)は、1928年10月に「近代フランス料理の父」オーギュスト・エスコフィエを名誉会長に設立された、世界的な西洋料理人(シェフ)の国際組織。2020年10月現在、108の国と地域が加盟しており、日本では一般社団法人 全日本司厨士協会が代表となり、1957年に加盟しています。

 毎年10月20日の「国際シェフの日(Chefs Day)」は、2004年に制定されたもの。世界各国のシェフたちが調理場を離れ、各国の恵まれない子供達のための食料支援や、食のイベント活動をする日です。

 2020年は新型コロナウイルス禍の影響により、大勢の人を集めてのイベントはできません。そこでロシア軍は各地で調理兵が腕をふるい、兵士たちにごちそうを作ることになったようです。

 モスクワでは、市内のレストランのシェフと調理兵が一緒になり、ロシア国防省の調理兵を育成する学校で、学生に対して豪華な食事を作りました。ただし、この料理の材料は、兵士の食事に使われている食品のみを使用したもの。


 パンや野菜、果物など、日頃から食事に供されているのと同じ材料でも、調理する人の腕によって豪華なメニューに生まれ変わります。学生たちも「お手本」として、参考になることが多かったに違いありません。


 中央軍管区では、ボルシチやウラル地方の餃子、ジョージアのチャホフビリ(牛肉や鶏肉を白ワインで煮込み、米でとろみをつけたスープ)、キルギスのベシュマルバック(茹でた麺の上に塩茹でした肉を細かくほぐして載せ、刻んだ玉ねぎと馬肉ソーセージを添えたもの)など、各地方の郷土料理が作られました。


 東部軍管区では、トランスバイカリアの訓練センターにおいて、後方支援部隊の幹部が集まって給養に関する会議を開催。その一環で調理兵によるロシア料理、東洋料理、ベラルーシ料理などが供されました。



 西部軍管区では、26か所の施設でそれぞれ伝統的なロシア料理やベラルーシ料理が供されています。料理を兵士に提供するのは、民族衣装を身にまとった女性。普段の軍服と違い、華やかな雰囲気です。



 このように、ちょっとしたイベントで通常と違う食事を食べる、というのは、兵士たちの士気を高めるためにも有効です。また、調理兵自身にとっても、自らの技量を高める機会となっているようです。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)