水害では、いち早く高い場所にある避難所に移動するのが大切。しかし、場合によっては家から移動できないことも。その場合、土のうが用意できなくても、二重にしたビニール袋に水を入れた「水のう」で床上浸水を遅らせることができた、という体験がTwitterで注目を集めています。

(※これはあくまでも個人の体験談であり、100%床上浸水を防ぐと保証するものではありません。家を離れ避難所へ避難することが基本です。命の危機が迫っているときは、迷わず避難を行ってください)

 この体験談をTwitterに投稿したのは、YouTuberでもあるふりかけさん(@hurikakechannel)。今から2年前、水害に遭った際の経験談を7月4日に画像付きでツイートしました。

 床に水の入ったビニール袋「水のう」が敷き詰められている画像とともに、ふりかけさんは「【家に水が入ってきている方々へ】【じわじわ床上浸水している方々へ】水のうが効果的です。ゴミ袋に水いっぱい溜めて二重にして玄関近くの床に敷き詰めます。トイレお風呂洗濯機キッチンの排水口にも同じように水のうを置きます。 これで外からの浸水と逆流がかなり防げます。(2年前経験者より)」とコメントしています。

 ふりかけさんに、この水のうを使った2年前の水害についてお話をうかがうと、起きたら水が入ってきていて、雨はやんでいるのに水かさは増える一方。水位は最大時で成人男性のひざ下くらいまでに達したといいます。水圧で玄関のドアは開かず、外に避難することが不可能に。

 キッチンの下から床へ、水がしみだしてきているのに気づき、タオルで吸わせてシンクに流していたものの、それも間に合わなくなります。何か手立てはないか、とネットで「マンション 浸水」と検索したところ、ビニール袋へ土の代わりに水を入れた「水のう」の作り方を知ったといいます。

 大きなゴミ袋を二重にして丈夫にし、中に水をためて袋の口をしっかり縛ります。それをいくつも作り、まず玄関に敷き詰めました。中身は水なので、土よりも柔軟に形を変え、隙間が埋まりやすくなります。

 あわせて、水が噴きあがってくる恐れのある排水口にも水のうを置き、ふたをします。ふりかけさんはトイレの便器にも水のうを詰めたそうです。

 結果として、ふりかけさん宅は玄関からキッチン、トイレにかけては床上浸水してしまったそうですが、玄関から一番遠く家財道具の多いリビングは浸水をまぬがれたとのこと。周囲の家では水が引いた後、家具などを外に出していたそうで、恐らく床上の広い範囲が浸水したということなのでしょう。

 現在は水害に遭った所から引っ越したふりかけさんですが、退去した際、部屋をチェックした不動産屋に「このマンションの1階の部屋の中では、一番被害が少なかった」と言われたとのこと。水のうがある程度、浸水被害を遅らせる効果があったようです。

 ふりかけさんは続くツイートで、あくまでも「水のう」は避難の必要がない、と思える程度の場合における緊急避難的な手段として、自己責任で行なうものだと強調。水害では手遅れになる前に、まず安全な指定避難所へ、家を捨てる覚悟で避難することが必要だと説いています。

 また、あくまでも水のうの効果は床上浸水を遅らせる程度であり、完全に防ぐものではありません。袋が破けたり、袋の口をしっかり縛っていなかったりすると、中に入った水が漏れ出てしまうリスクも頭に入れておきましょう。

 ふりかけさんの被災体験では効果があった水のう。家を離れ、安全な場所に避難するのが第一ですが、床下浸水か床上浸水になるか……という局面では、役立つ可能性のあるものとして、頭に入れておくとよいかもしれません。

<記事化協力>
ふりかけさん(@hurikakechannel)

(咲村珠樹)