話したり聞いたりすることに支障はないものの、文字を読んだり書いたりすることが困難なディスレクシア。発達性読み書き障害とも呼ばれ、特に読み書きの機会が多い学校での学習に課題を抱えていますが、発達障害研究の第一人者、平岩幹男医学博士と共同開発したNintendo Switch用トレーニングゲームが7月上旬に発売されます。

 ディスレクシア(Dyslexia=発達性読み書き障害)とは「読字障害」とも呼ばれ、音声言語によるコミュニケーションには不都合な点はないものの、書かれた文字を読んだり、言葉を文字に書くことが苦手な状態を指します。

 日本では本格的な調査が実施された例はなく、実数の把握は困難ですが、欧米での調査では全体の5~10%にディスレクシアが見られるという結果が出ています。脳の中で、音声言語(話す・聞く)と文字言語(書く・読む)とを変換することがうまくいかないのが原因だと考えられていますが、人によって症状は様々。


 社会生活を営む上で、その場にいない人に対して要件を伝達する方法として、読み書きに関するトレーニングはディスレクシアの人にとって重要なもの。しかし、机を前にしてトレーニングし続けることは、場合によっては苦手意識を助長させ、机自体を忌避するようになってしまうことも。

 IT技術を活用した教育ビジネスを展開するEdTech(Education Technology)企業の株式会社サムシンググッドは、発達障害分野の第一人者である平岩幹男博士と「机に座らない学習」をコンセプトに、Nintendo Switch用トレーニングゲーム「読むトレGO!」を開発。2018年の企画段階から初期の研究用ソフト開発、そして実証実験を経た商業用ソフト開発までを共同で実施しています。


 実証実験では、診断基準DSM-5に基づいてディスレクシアと診断された10人を超える児童を対象に、4週間「読むトレGO!」をプレイする読み書きのトレーニングを2019年9月と2020年1月の2回実施。67%の子どもにおいて20%以上読みの時間が短縮し、2度読みの回数も減少したといいます。

 この研究結果は、平岩博士を筆頭著者とする「ディスレクシア(発達性読み書き障害)に対する音声認識機能を使ったトレーニングの試み」という論文にまとめられ、専門誌「小児科診療」2020年2月号(Vol.83 No.2)に掲載されました。

 その特徴は、Nintendo Switchの音声認識機能を活用し、文字を見て声で答えることが可能なこと。合計6コンテンツで54レベル、227ステージ用意されたゲームを通じ、とにかく「声に出して読んでみる」ことを苦痛に思わないように工夫されています。


 実際にディスレクシアの子どもを対象に実証実験を行い、使い勝手の感想を含めた結果を開発に反映させたNintendo Switch用トレーニングゲーム「読むトレGO!」は、2020年7月上旬にも株式会社サムシンググッドからリリース予定です。

情報提供:株式会社サムシンググッド

(咲村珠樹)