アメリカ海軍は2020年1月9日(現地時間)、水上艦艇に勤務する士官に対し、新たにレザージャケットを支給することを決定し、発表しました。レザージャケットが制服として支給されるのは、ベトナム戦争時代のパイロット用フライトジャケット以来となります。

 アメリカ海軍の通達「NAVADMIN 004/20」として制定されたレザージャケットは、水上艦に勤務する海軍士官(少尉以上)が艦橋で警戒監視に当たる際の防寒着として使用されるもの。職域区分1110、1115および1117に相当する水上戦闘士官(SWO)が対象となります。また、職域区分1113の士官については、現役であるか、または即応体制の予備役にある場合が支給対象。

 SWO(水上戦闘士官)レザージャケットという名称で制定されたこのジャケットは、前身頃中心にジッパーのついた黒い革製。袖口と腰回りは伸縮性のあるニット素材となります。

 前面に大きなボタン留めフラップ付きのポケットがついており、左胸には名札を取り付けるベルクロが。背中側には袖の取り付け部分にタックがつけられ、全体にライニングも施されています。

 全体的なシルエットは、1970年代までパイロットに支給されていた、俗に「G-1」と呼ばれるレザー製フライトジャケット(MIL-J-7823)とほぼ同じ。しかし襟元はG-1のボアに対し、シャツのように先端の尖ったスムースレザーとなっており、第二次世界大戦中の陸軍航空隊(空軍の前身)で使用されていた、ボマージャケットとも呼ばれる「A-2」フライトジャケット(30-1415)のような感じです。

 制服として支給されるものですから、着用法についても厳格に定められています。海軍士官としての品位を保つため、前をはだけて羽織るのは厳禁。必ずジッパーを4分の3以上閉めて着用することが求められます。袖の長さも拳の付け根部分までと定められていて、いわゆる「萌え袖」のようにオーバーサイズのものを手を覆うような形で着用することは認められません。

 新しい水上戦闘士官用レザージャケットは、2020年6月から順次支給が始まります。映画「トップガン」が公開された1986年にフライトジャケットがブームとなり、劇中でトム・クルーズさんがG-1レザーフライトジャケットを着用していました。映画「トップガン マーヴェリック」が公開される2020年、今回のレザージャケットも次の冬シーズンにはファッションアイテムとして、レプリカが出回るかもしれませんね。

<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
アメリカ海軍通達 NAVADMIN 004/20
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)