フランス海軍が新たに建造する中型フリゲート(FDI)1番艦の起工式が2019年10月24日(現地時間)、フランス北西部ロリアンで行われ、パルリ軍事大臣が記念プレートにサインを記しました。この1番艦は「ロナーク」と命名され、2023年の引き渡しを予定しています。

 FDIの略称で知られる新しい汎用中型フリゲート(Les Fregates de Defense et Intervention)は、フランス海軍初となる完全デジタル制御のシステム艦です。サイズは4500トン級で、全長122m。最大速力27ノットで、125名の乗組員のほか28名が乗艦できるようになっています。

 計画は2017年から、海軍と建造を担当するナーバル・グループとの間で設計が煮詰められてきました。多様化する任務に対応できる汎用性が求められ、海上警備行動や艦隊防空、対潜水艦戦、情報収集など、多岐にわたる能力が要求されます。このため、大容量のデータを素早く処理できるデジタル化が推進されました。

 艦の目となるのは、タレス製のデジタル・アクティブ制御式フェイズドアレイ・レーダーのSEA FIRE。艦橋構造物上部の四方にアンテナが配置され、対空ミサイルのASTER、対艦ミサイルのエグゾセMM40ブロック3と連動します。また、対潜水艦戦や情報収集用として、ヘリコプターのほか、700kgクラスの無人機(ドローン)の運用能力を有します。

 自艦のレーダーやソナーで収集した情報は、航空機や僚艦から送られた情報などと合わせてデジタルネットワークでリンクされますが、サイバー攻撃に備え、複数のデータセンターが用意されており、一方がダウンしても戦闘の継続が可能です。

 この式典でパルリ軍事大臣は、1番艦を第一次大戦のイゼール川の戦いで指揮官として活躍し、のちに海軍参謀総長を務めたピエール・アレクシス・ロナーク中将にちなみ「アミラル・ロナーク(ロナーク提督)」と命名することを発表しました。

 また、計5隻建造されるうちの1隻に、2019年9月6日に死去した元海軍参謀総長、ベルナール・ルーゾー氏の名もつけられるとのことです。1番艦ロナークの引き渡しは2023年末、5隻すべてが出揃うのは2030年を予定しています。

<出典・引用>
フランス軍事省 プレスリリース
ナーバルグループ プレスリリース
Image:フランス軍事省/NAVAL Group

(咲村珠樹)