電車やバスに乗っていると時々出くわす、不審者。特に痴漢や見知らぬ女性に絡んでくるヤカラは全女性の敵ともいえます。そんな不審者から、一人の女の子を守った女性陣の連係を記録した漫画がツイッターで話題になっています。

 ネットユーザーの“夢見る時間”さんが、「先日友人が遭遇した出来事です」と友人の目撃談を漫画にしてツイッターに投稿しています。その内容とは……。

 謎の男がそこそこ混んでいると思われる電車内で、一人の女の子に話しかけています。その内容は「学校は楽しい?委員会はなにかしている?好きな人はいるの?」と、ナンパっぽい感じ。話しかけられた女の子は明らかに困惑している様子です。無難に受け答えしているであろう女の子に、「〇駅で降りるの?ボクもだよ。一緒に降りよう」と、家族や友人でもない様子の男の動きが明らかにおかしい。車内の人々もその様子に気が付いており、不穏な空気が……。その時、一人の女性が、「ねえ、ここ空いたから座りなよ」。

 そばにいた若い女性が、困っていた女の子に声をかけたのでした。その行動に明らかにうろたえる男。そして、男に「ご家族とか、お知り合いですか?」と問いかける若い女性。男はうろたえながらも、「いや、そうじゃないけど、〇駅で降りるっていうからオレも一緒に降りようってなって……」と言い訳。それを見ていた近くの女子高生風の子が、「わたし〇駅で降りるから一緒に降ります!」と。さらに近くの初老の女性が、「それがいいわ、お願いね!」と声かけ。そして女の子を守るかのように、声掛けし合った女性陣らが前に立ち、男からガードするフォーメーションに。男はスマホをいじりつつもその場を離れない。

 それをずっと見守っていた友人さんも、「あの男本当に〇駅で降りるのかな、電車を降りたら女の子に近づくのでは?」と心配に。そして、友人さんは初老の女性と女子高生風の子に付き添われて女の子が降りるのを確認。諦めもせず話しかける男も一緒に降りるのを確認しつつ、後からつけるように一緒に電車から降り、男の様子を見張りつづけたのでした。

 その後、女の子は付き添ってくれた女子高生と一緒に改札を無事に通過。駅事務所へ向かったそうですが、男は改札から出ずにスマホで後ろから写真を撮っていたらしく、捨て台詞に「画像をネットにあげたるからな」などと言っていたそうです。そして男はそのまま改札へは向かわずに再びホームに……。

 電車に乗り込む男の背中を見送りながら、「おまえ、〇駅でおりるんじゃないんかい!」と心の中で盛大にツッコまざるを得ない友人さん。それにしても、降りると言っておきながら戻っていくあたり、怪しさしかない……。そんな話を友人さんから聞いた“夢見る時間”さん、こんな最低な男に出くわした時に注意喚起として漫画にして公開しても良いか、友人さんに聞いたところ、友人さんも快諾。女の子を守ってくれた女性陣への感謝の言葉とともに、この漫画を締めくくっていました。

 この漫画が公開されると、同じ様に不審者に交通機関内で怖い思いをした経験を持つ人からのリプライが続出。そして、男女問わず、どうしたらより良い方法で不審者から被害者を守れるかの話も出ています。こういうヤカラは自分よりも弱いと思われる人を狙ってくる、卑怯なヤツなので、自分よりも強そうと思う人には手を出さない傾向があります。強面を自称できる人は一人で対峙できるかもしれませんが、そうでなければやはり周囲との連携が安全でしょう。

 この事例からも、女性陣が異変に気が付いて一人の勇気ある行動に乗じる事が出来たことが功を奏していると考えられます。バスの車内であれば運転手に伝えることで対応できますが、何両もある電車内だと、最後尾にいる車掌さんへ報告に行くのは、混んでいる車内であればほぼ不可能。すぐに最寄りの駅に到着できそうであれば、駅係員に報告するのがよさそうですが、快速や急行など、次の停車駅に止まるまでに時間が長そうな時は、車内のSOSボタンを押すという手段もあります。痴漢や付きまとい行為は立派な犯罪行為ですので、SOSボタンを押す理由となりえます。

 ちなみに筆者、守る側でこうした場面に2度遭遇したことがあります。1度目は電車に乗っていたところ見知らぬ女性から親しげに声をかけられました。はて誰だろう。と思っていると、小声で「変な人がさっきからすりよってくるんです」という話。突差に状況把握した私は、彼女と親しげ風な会話にみせて、相手の風貌を聞き出し、相手を目視確認。確かにこちらをずっと見てる……。チラッチラッ。まだこっち意識してる……。その後、適度な距離を保ちつつ、彼女と次の駅で降りて駅員室まで同行したのでした。そして2度目は、駅の階段を降りていたところ横に並んだ女性に突然声をかけられました。「すみません、さっきからずっとついてくる人がいて、しばらく知り合いのふりしてくれませんか」と。その時も、彼女から相手の風貌を聞き出し、相手を確認。いるわー。しかもこちらが歩くと歩く、立ち止まると、立ち止まって何かしてるフリをする……これは確かにつけてるかも。そこですぐ近くの交番まで、彼女と楽しくおしゃべりしてる風を装いながら同行したのでした。

 これらケースのように、どうしても大声で助けを求めることが躊躇われる場合には、身近にいる人にまず助けを求めるのは有りかも知れません。また、そんな場面に遭遇したことはないよ!という方は、もしもに備えて、被害に遭っている人を見かけたときは自分がどう行動するべきか……日ごろから頭の中でシミュレーションをしておくのもいいかもしれません。

 残念ながらこうした被害は後を絶ちません。また、若い女性、特に幼い少女たちは大人の男性に対して自ら声をあげる事は難しいと思われます。良識ある大人たちが若い子を守る「盾」となって、少しでも被害を減らす取り組みができるといいですね。

<参考>
警視庁 迷惑防止条例

<記事化協力>
夢みる時間(適当によんでOK)さん(@OK_UYI_NO)

(梓川みいな)