No13.グラス横のカメラミリタリーな話題をマニア目線でお届けしている、鉄砲「ミリタリー魂」。

今回レポートするゲームは一発ごとにボルトやスライドを引いて発射するアーコッキング銃を主に使用したゲーム、但し第二次世界大戦時の装備を着用した方だけは例外的に連続して引き金を一回引くごとに一発づつ撃てるセミオート銃の使用を許可する、という変わったもの。

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No4.集合写真


ある日、浜松町産業貿易センターにて行われたビクトリーショーという、軍服やエアーガン、モデルガンなどを扱った展示即売会で今回のゲームが紹介されており、「最近銃や装備品、銃器が豪華になってゆく傾向が強い中珍しいな。ほぼひっきりなしにBB弾が降ってくるゲームだけでなくこういった連射を制限するゲームもやってみたら、従来と違ったゲーム展開が楽しめるかも。」そう考え今回参加してみることにしました。

エアーコック対セミオートというと著しく不利に見えますが、セミオートといっても外観は第二次世界大戦時のデザイン。
現在の銃のような狙い易い照準器も赤い点をターゲットに重ねるだけで素早く狙えるドットサイトもなく、使用には熟練が必要だった時代の銃。それに対してこちらは連射が利かなくても一瞬で狙えるドットサイトを取り付けた散弾銃を使用。

No1.持って行った散弾銃
No2.載っているサイト No3.三本の銃口

うん、これなら三発を同時に発射出来て事実上セミオートのように戦えるし、素早く狙って撃てば十分勝負出来る!と、いうことで出発!

今回は京成臼井駅よりタクシーで20分程の場所にあるサバゲーフィールド「ナンバー9」が会場。現地に到着してみるとそこは山一つがまるごとサバゲー場となっていて5つのフィールドを持つ広大なフィールドでした。
駐車場は120台収容、銃の準備や身支度、休憩スペースのセーフティエリアや女子更衣室、シャワー室を多数備え、そのどれもが清潔で快適な環境でした。

今回、エアーコック戦を企画したサバゲーチーム「ボルてス」はこのうち150m×150m位、付随するセーフティエリアは130人収容可能のセンターフィールドを借り切って開催しました。

今回の参加者は僕を合わせて8人。
今回のゲームでは一応、紅組と黄組に分かれて撃ち合うものの、あえて勝敗の判定はせず、ただひたすら撃ち合いだけを楽しもうという趣旨だそうです。
勝負にこだわって熱くなりすぎるな、ということでしょう。
ただ、くれぐれも弾が当たっても当たってないフリして撃ち合いを続行する、いわゆるゾンビ行為だけは絶対しないように、と強調されていました。
僕の経験からいえば、銃を改造して規定以上のパワーを出したりゾンビ行為したりする人の中には勝負にこだわりすぎ、悔しいという気持ちが過剰に作用して行われる、というケースも多くみられました。

No5.BBローダーと死亡マーカー

当日朝に支給されたエアーガンに弾を込める為の茶色い弾入れと、弾が当たって死亡扱いとなったことを示す白いハチマキ。それにスポーツドリンクも支給されました。弾入れは東京マルイというメーカーの製品で、エアーガンに弾を込めるための100発入りケース。およそ20分のゲームで使用の許される弾数はこれに入る100発のみ。僕は普段のゲームでは大体1000発くらいの弾を持って行くので最初は少なく感じ、ゲーム中の弾切れを懸念しました。
しかい実際にゲームをやってみるとここでは相手も100発しか持っておらず、ホースで水を撒くように弾を撒くこともありません。従ってこちらもそれを制止する為に大量の弾を撒くこともなく、じっくり狙い撃ちする分だけですむのでここではこの100発で充分でした。

中身の弾も執行部側が提供する「OPTION No1」というメーカーのBB弾でした。これまでは執行部支給の弾といえば安価で粗悪な弾が多く、命中精度も悪くてひどい時には銃が弾詰まりを起こして故障する場合がありました。
しかし今回支給された「OPTION No1」は銃が壊れるどころか実に品質が良いため、僕が普段使っている弾より命中精度がいいくらいでした。
今回、開催された方も値段が安いから、という理由でこの弾を選ばれたそうですが、最近は粗悪な弾は淘汰されてきたようですね。

No8.西部劇スタイル

まず目を引いたのはアメリカ西部開拓時代スタイルでセバゲーされておられた方。お持ちの銃もKTWという会社が製造しているウインチャスターM1873。この銃は一発撃つごとに引き金に被さっているリング状のレバーを引くタイプ。

No6.KTWウインチャスターM1873 No7.タナカSAA

もう一つ持っておられた拳銃も一発ごとに引き金を覆っているのレバーの様なハンマーを引く、シングルアクションリボルバーという方式のもの。いずれも普通のサバゲーで連続して撃てる機関銃を相手にするにはかなり不利な銃ですが、ここでは大いに活躍できます。

No9.三丁のモーゼルライフル
No10.BB弾入り薬きょう No11.弾込め作業

今回、第二次世界大戦時のナチスドイツ軍装備で来られた方も。今回、第二次世界大戦時のコスプレの方のみセミオートを許す、というルールで、しかもその頃のアメリカとドイツは世界に先駆けて歩兵の持つ銃を自動化した国でもあります。今回、この方のような人はセミオートを持ってくるのでは?と思いましたが、持ってこられた銃はライフルも拳銃も手動で一発ごとに引くタイプでした。
中でも一番目を引いたのは写真のモーゼルKar98k。三丁のうち奥からタナカ製カートレスエアーコッキング、マルシン製ガス式ライブカートボルトアクション、一番手前がマルシン製エアーコックライブカートボルトアクションとなります。

カートというのは実銃に使われる、日本語では薬きょうというもの。実際に標的に向かって飛ぶ銃弾とその発射エネルギーになる火薬、そしてその火薬に火を付ける雷管をひとまとめにして扱いやすくしたものをいいます。
普通のサバゲーで使用されるエアーガンは、現在ではほとんどがこの薬きょうを全く再現していないものとなり、それが一番奥のタナカのエアーコックKar98kです。

中央と手前のものはその薬きょうを再現し、実銃同様の装弾動作を楽しめるのが特徴。ただ、厳密には一個づつ加工精度にバラつきのあるカートにBB弾を詰めて発射するため、命中精度はカートレスには劣ります。そのため今回のサバゲー以外ではほとんど使い道がありません。

No12.KTWフリントロック銃

さて、ここにも他のサバゲーではほとんど見かけない銃、17世紀頃の海賊が使用していたことでも有名なフリントロック銃。この銃はKTWというメーカーが再現したもので、僕の住んでいる町のガンショップにもこの銃はおいてあり、撃たせてもらって弾道がかなり真っ直ぐであることを実感しました。20世紀末~21世紀の近代的な照準器を取り付ければかなり性能のいい銃にはなる、という話もしましたが、さすがに実銃の命中精度が悪かった17世紀の銃にそんなことしても意味ない、ということになりました。当たり前でしたね。

この銃の実銃は一発撃つごとに

(1)銃口から火薬を流し込む、
(2)銃弾を入れる、
(3)銃口の下にある棒でその火薬と弾を奥に押し込む、
(4)洗濯バサミのような形のハンマーを半分起こす、
(5)ハンマーの前にある火皿にも火薬を入れる。
(6)L字型の火皿蓋を閉める。
(7)ハンマーを一杯まで起こす。

これだけやって初めて発射可能です。
エアーガンは銃口下の棒の部分が弾倉となっていて12連発、それを詰めたらハンマーを一杯まで起こして火皿蓋を閉めて発射。後はハンマーを起こす、火皿蓋を閉めて発射の連続です。

さて、サバゲーの動画です。今回は写真のようにシューティンググラスの右にカメラを設置し、よりプラーヤー視線の撮影を心がけました。汗のせいでカメラがズレたり傾いたりしましたが次回、改善策を考案します。ご容赦を。

No13.グラス横のカメラ

この動画、掲載の都合上、撃ち合っているシーンや銃を操作しているシーンのみを抜き出しているので時間中、ずっと激しく撃ち合っているように感じますが、実は撃ち合いは20分のゲーム中動画の5分~7分程度で、ほとんどは走ったり敵を探して周囲を観察したりがほとんどです。
また、動画ではよくわかりづらいですが、射程ギリギリでの射撃がなく、余裕を持って狙い撃ちできる距離での撃ち合いで、「当たった」という実感の味わえるゲームでした。

http://www.nicovideo.jp/watch/1379652561

http://www.nicovideo.jp/watch/1379652636

今回、エアーコック戦を体験して気づいたことは、許される限り有利な銃を用いてゲームに勝とう、というメンバーが一人もいなかったこと。
サバゲーチームが長く運営されていると銃や装備にこだわって豪華なものを揃える人が増え、半ばサバゲーというより銃の性能コンテストのようになってしまうチームがみられる中、あえてその性能を制限したことでかえってゲームを面白くしておりました。
今後ともこの「ボルてス」、弾をバラ撒けない設定でのゲームを色々考案して開催するそうです。ルールさえ守れる方なら初めての人でも快く迎えてくれるチームなので今後とも期待のチームです。

▼ボルてス

▼サバイバルゲーム場「ナンバー9」
http://www.no9-co.jp/

(取材:鉄砲蔵)