NASAは2021年12月14日(現地時間)、NASAとしては2番目となる商用宇宙旅行を宇宙ベンチャー企業のアクシオム・スペースに実施させることを発表しました。アクシオム・スペースはNASA初の商用宇宙旅行を担当する会社でもあり、2番目の宇宙飛行では、搭乗者をディスカバリーチャンネルの番組で募集する試みがなされています。

 各国の宇宙飛行士以外の民間人が宇宙に行く「宇宙旅行(スペース・ツーリズム)」については、これまで旧ソ連を含むロシアが先行してきました。直近の例では、2021年12月8日に打ち上げられたソユーズMS-20に前澤友作さんと平野陽三さんが搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)を訪れています。

ソユーズMS-20に搭乗する前澤友作さんと平野陽三さん(画像:ロスコスモス)
国際宇宙ステーションにドッキングするソユーズMS-20(画像:NASA)

 2021年に入り、民間人の宇宙旅行はヴァージン・ギャラクティック(弾道飛行)、ブルーオリジン(弾道飛行)、スペースX(国際宇宙ステーションより高い高度を数日間周回飛行)が催行。ロシア以外の宇宙船で宇宙旅行が可能になったことから「宇宙旅行元年」とも呼ばれ、宇宙の商業利用が盛んになる兆しを見せています。

ドラゴン(画像:NASA)

 NASAでも宇宙の商業化を目指し、2021年5月に初の商業宇宙旅行者を受け入れる契約をアクシオム・スペースと締結。NASAのマイケル・ロペス=アレグリア宇宙飛行士をコマンダーとしたスペースXのクルードラゴンに、3名の宇宙旅行者を同乗させることとしました。

Ax-1のクルー(画像:アクシオム・スペース)

 アクシオム・スペースが催行する第1回の商業宇宙飛行は「Ax-1」との名称がつけられ、2022年2月21日以降の打ち上げを目指して準備が進められています。ミッションは8日間が予定され、国際宇宙ステーションに滞在するクルーと交流するほか、ISSで必要な補給物資を運び、ISSでの実験で使用した試料などを持ち帰ります。

クルードラゴンから見た国際宇宙ステーション(画像:NASA)

 今回、受け入れが決定したアクシオム・スペースによる第2回のミッション「Ax-2」は、Ax-1と同じくスペースXのクルードラゴンを使用。NASAのペギー・ウィットソン宇宙飛行士がコマンダーとなり、ニュルブルクリンク24時間耐久レースで活躍したレーサーのジョン・ショフナー選手がパイロットとして搭乗します。

Ax-2のクルー(画像:アクシオム・スペース)

 Ax-2ミッションでユニークなのは、残る搭乗者2名のうち1名をテレビ番組で選ぶというところ。アメリカ、ディスカバリーチャンネルのリアリティ番組「WHO WANTS TO BE AN ASTRONAUT?(宇宙飛行士になりたい人は誰?)」において、宇宙船に乗りたい人を全米から募集し、宇宙旅行するまでを8回シリーズで放送するといいます。

 応募条件は18歳以上で、アメリカの市民権もしくは合法的居住権を持っていること。日本から応募できないのはちょっと残念ですね。

国際宇宙ステーションとドラゴン(画像:NASA)

 NASAが受け入れる2回目の商業宇宙旅行となるAx-2ミッションは、2022年秋から2023年春頃の打ち上げを目指して準備が進められます。誰が宇宙旅行の切符を手にするのか、ちょっと気になります。

<出典・引用>
NASA プレスリリース
アクシオム・スペース プレスリリース
スペースX プレスリリース
ディスカバリー ニュースリリース
画像:NASA/ロスコスモス/アクシオム・スペース

(咲村珠樹)