メーカー勤務の傍ら、ものつくり活動をしているという成田麻美子さん(以下、成田さん)。

 動物をモチーフにしているという作品は、臨場感と生命感が合わさった木彫りアート。その製作の様子を、先日自身のTwitterで紹介し話題を呼んでいます。

「#これを見た人は加工前と加工後を貼れ
積み木みたいに木を組み合わせて彫刻を作りました。一応乗れます」

 そんなつぶやきとともに、自身が東京藝術大学在学中に製作したという、トナカイをベースにした木の彫刻の完成前後を写したビフォーアフターを紹介した成田さん。まるで積み木のように、複数の木を積み重ねてサイズ調整をしている様子と、完成品にまたがる自身をとらえた対照的な2枚です。

過去作品の製作風景を紹介した投稿者。ビフォーは巨大な積み木を重ねている様子。

完成後のアフター画像。またがることも可能な巨大な木彫りアートに。

 「木材を使った作品は、大型のものになると、1本(1本の木から丸々彫り出すこと)で作ることが出来ないので、複数の木を繋ぎ合わせて製作をしているんです」

 これは表にでない部分でも同様だそうで、接着に関しても、内側に別の木材を仕込んだりビスで留めたりという工夫をした上で、木工用ボンドで行っているとのこと。彫刻アートの意外な一面、とても興味深いお話です。

 もちろん、外観に関しても様々なこだわりがあるという成田さん。今回の作品においては、「ポージング」を特に重視したそう。

トナカイをモチーフにしたという作品。

 「どの角度から見ても、成立する風貌に仕上げています。私が、鹿などの生き物に対して、細い脚で軽やかに歩く姿に魅力を感じているので、そのイメージを見失わないよう、繰り返しスケッチを行いました」

様々な角度でも成り立つポージングを意識。

 ただ、先述の通り、本作は巨大な積み木を重ね合わせた“大作”。

 「作品全体を把握することが難しかったです。なので、客観視するために、何度も離れて確認しました。また、目で見るだけでなく、両手で包むように触ってみて、作品の厚みを確認する作業も行いました。『触覚』も製作の頼りになるんだと気づかされた作品でしたね」

トナカイがモチーフながら、顔面は羊のようにモフモフ。

 なお、本作はトナカイがモチーフですが、顔面は羊のようにモフっとしたオリジナル生物。投稿のリプライ(返信)欄では、映画「もののけ姫」に登場する「ヤックル」を連想する声も寄せられましたが、成田さんによると、製作当時も同様の反応があったとのことです。

Twitter上でこれまでの自身の作品を紹介している投稿者。

 そんな成田さんですが、Twitter上で、大小様々な動物モチーフの木彫りアートを紹介。モデルそっくりないで立ちの中に、随所にオリジナル要素を取り入れた現代アートとなっています。

<記事化協力>
成田 麻美子さん(@3ka7rita)

(向山純平)