鹿児島県を担当区域とし、自衛隊と一般の人々を結ぶ仕事をしている鹿児島地方協力本部(鹿児島地本)。公式Twitterでは、鹿児島方言を駆使したユニークな手法で、自衛隊に関する様々な情報を発信しています。

 今回、自衛官の間では常識でも、一般人とはちょっと違う……という「自衛官あるある」を列記してツイートしたところ、現役自衛官やOBと思われる人からの共感、そして一般の人からは驚きの反応が寄せられました。

 鹿児島地本公式Twitterが「自衛官あるある」として挙げたのは、次の5つ。

【自衛官あるある】
1. 「10時集合」で、10時に集合するのが一般人、9時55分に集合するのが自衛官

2. 「気をつけ」で、手をパーにするのが一般人、手をグーにするのが自衛官

3. 「雨の時」に、傘を差すのが一般人、カッパ(雨衣)を着るのが自衛官

4. 「集まれー」で、発声者の周りに集まるのが一般人、発声者の前に整列するのが自衛官

5. 「何人かで歩く」と、歩幅がバラバラなのが一般人、なぜか、歩調が合うのが自衛官

 これらの「自衛官あるある」、自衛隊に関する取材をしている筆者にとっても、当たり前すぎて指摘されるまでは気づきませんでした。それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

自衛官あるある(自衛隊鹿児島地方協力本部提供)

■ 5分前行動

 自衛隊では「5分前行動」というものが徹底されます。そのため、設定時刻より5分前には全員が集まっていることが当たり前。これは作戦行動を予定通り、スムーズに行うための習慣づけです。

 ただ、この「5分前行動」は積み重なっていくものなので、大きな部隊単位で動く場合、さらに集合時間が早まっていきます。

 大隊で10時集合(実際は9時55分)だった場合、中隊では5分前の「9時55分集合(実際は9時50分)」、小隊でさらに5分前の「9時50分(実際は9時45分)」、と集合時間が繰り上がっていき、場合によっては集合時間の30分前には集まっている……というケースも。

■ 「気をつけ」で手をグーにする

 姿勢を正す「気をつけ」の姿勢で、拳を握った「グー」にするのも自衛隊ならでは。陸海空どの自衛隊でも共通で、行進の際に手を挙げる際もグーの状態で、手のひらを下に向けて挙げることになっています。

拳を握って「気をつけ」の姿勢を取る航空自衛官
拳を握って「気をつけ」の姿勢を取る海上自衛官
拳を握って行進する陸上自衛官

 ちなみに「休め」の姿勢では手の指を伸ばし、それを腰の後ろで交差させます。絶対に手を「パー」の状態にしない訳ではありません。

「休め」の姿勢では手を開く

■ 雨の日はカッパ

 雨の時、一般の人は傘を差して歩きますが、自衛官の場合は手がふさがるため、カッパ(雨衣)を着用するのが当たり前。陸上自衛隊の場合、作業服(迷彩服)用の迷彩柄、制服着用時には単色の雨衣を使用しています。海上自衛隊の場合、制服着用時は上に黒いフロックコート(レインコート)を着用します。

海上自衛隊のレインコート

■ 集合のとき発声者の前に整列するのが自衛官

 集合の仕方は一般人と自衛官で大きく異なります。自衛隊の場合、集合をかけるのは「指示がある時」なので、それを聞くために発声者の前で整列し、指示や訓示を聞く体制を整える訳です。

■ 「何人かで歩く」と歩調が合う

 何人かが集まって歩く時、歩幅が揃ってしまう……というのは、自衛隊に入隊後、自衛官としての初期教育を受ける教育隊で徹底されること。自衛官の服務規定で「規律正しく行動すること」というものがあり、その代表的な例として、行動する際に整った動き方をするよう教育されるのです。

整列して歩く海上自衛官

 自衛隊や軍隊は大きな武力の行使を許された存在なので、とりわけ規律に従い、統制されていなければ国民の信頼を得られません。このため、普段の行動も規律正しくすることが求められます。

 歩く際も号令をかける時があるのですが、一般的には「イチ、ニ、イチ、ニ」とかけるところ、自衛隊では「イチ……イチ……イチ、ニ」というリズムになっているのも特徴。集団で自衛官が歩いている時、注意していると、小さな号令の声が聞こえることがあります。

勝手に歩幅が合ってしまうのだという

 いろいろな決まりの中で行動するため、少し一般とは違う特徴もある自衛官。慣れた人だと、行動で一般人の中から現役・OBの人を見分けてしまうこともあるそうですよ。

<記事化協力>
自衛隊鹿児島地方協力本部 公式Twitter(@kagoshima_pco)

(咲村珠樹)