エアバスが2021年5月20日(現地時間)、4月末に打ち上げられた地球観測衛星「プレアデス・ネオ3号機」から届いた最初の画像を公開しました。搭載された光学カメラは、30cmの物体を見分けるという解像力。とても宇宙から撮影されたとは思えないほど、高精細で美しい画像になっています。

 エアバスのプレアデス・ネオは、複数の衛星で地球全体をカバーするよう計画された地球観測衛星のシリーズ。3号機は2021年4月28日(日本時間29日)、フランス領ギアナからアリアンスペースのヴェガロケットで打ち上げられました。

プレアデス・ネオの打ち上げ(Image:ESA/CNES/Arianespace)

 搭載された光学カメラは、最高30cmの物体を判別できる解像力(分解能)を備えており、6つの波長で撮影できます。また、誤差3mと高精度に被写体を捉えることができ、1日あたり50万平方kmを撮影できるほか、同じ地点は2日ごとに撮影可能。

プレアデス・ネオのイラスト(Image:Airbus)

 画像は1回あたり最大7500平方kmの範囲を撮影でき、高速衛星通信網を通じて撮影から30分〜40分程度で入手可能。軍用、商用とも同じ解像度で画像が取得できるのも大きな特徴です。

 今回、最初の画像として公開されたのは、世界5つの都市を撮影したもの。エジプトのカイロを撮影した画像では、ギザのピラミッドが積み上げられている石のひとつひとつまで判別できる細かさ。アメリカのワシントンD.C.では、連邦議会の建物とホワイトハウスが真上から撮影されています。

プレアデス・ネオ3号機が撮影したホワイトハウスと連邦議会議事堂(Image:Airbus)

 イタリアのローマを撮影した画像は、テヴェレ川の右岸に建つ古代ローマの城塞、サンタンジェロ城の丸い姿と最高裁判所の姿がはっきりと写っています。

プレアデス・ネオ3号機が撮影したサンタンジェロ城と最高裁判所(Image:Airbus)

 中国の上海では、上海タワーの別名でも知られるテレビ塔「東方明珠電視塔」や、上海ワールド・ファイナンシャル・センターを真上から見下ろした画像。特徴的な円形歩道橋を歩く人の姿も判別できます。まさに「人がゴミのようだ」という感じですね。

プレアデス・ネオ3号機が撮影した東方明珠電視塔と上海金融中心(Image:Airbus)

 UAEのドバイは、JBRビーチに隣接した人工島ブルー・ウォーターズに作られた世界最大の観覧車「Ain Dubai(アイン・ドバイ)」の画像。護岸に積み上げられた石もひとつひとつ判別可能で、幾何学的な美しい街並みもよく分かります。

プレアデス・ネオ3号機が撮影したドバイの観覧車(Image:Airbus)

 公開された画像はどれも非常に精細で、とても宇宙から撮影されたとは思えないほど。説明なしに見せられたら、普通の空撮画像だと勘違いしてしまいそうです。

 エアバスによると、プレアデス・ネオ3号機が撮影した画像の商用提供は、2021年の第3四半期より始まるとのこと。さらに4号機が2021年夏、5号機と6号機が2022年の打ち上げを予定しており、高精細の衛星画像は今後さらに多く供給されるようになる見込みです。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus/ESA/CNES/Arianespace

(咲村珠樹)