アメリカ空軍は地球規模攻撃軍団(AFGSC)に所属するB-1B爆撃機の退役が、2021年2月17日(現地時間)より始まったと発表しました。第1陣として、機体寿命が限界に近づいた17機が「飛行機の墓場」があるアリゾナ州のデビスモンサン空軍基地に移動しています。

 アメリカ空軍では装備近代化の一環として、爆撃機の更新を計画。新たなステルス爆撃機、B-21レイダーを開発・調達すると発表しており、最初の配備先はサウスダコタ州のエルスワース空軍基地となる予定です。

B-21レイダーの予想図(Image:USAF)

 これにともない、中東での「テロとの戦い」で長期間運用したことによって機体寿命を縮めてしまったB-1Bが運用から外れ、退役することになりました。退役の第1陣となる機体が所属するエルスワース空軍基地では、デビスモンサン基地へ向かうB-1Bを整備兵が敬礼で送りました。

退役にともないテールサインが消されたB-1B(Image:USAF)
エルスワース空軍基地から退役するB-1Bを敬礼で送る整備兵(Image:USAF)

 アメリカ空軍地球規模攻撃軍団司令官、ティモシー・レイ大将は「B-21に道を譲り、古い爆撃機を退役させることは、私たちがここしばらくの間取り組んできたものです。過去20年、B-1Bに生じた損耗により、修復・維持の費用が1機あたり数千万ドル必要です。そしてそれは単にトラブルを解決するだけで、退役までの時間を加速している訳です」と、B-1B退役の理由を語っています。

中東でのB-1B(Image:USAF)

 また、レイ大将は「機体寿命が目前に迫った爆撃機を退役させることで、乗員の訓練と機材の健全性を優先させられます。優先順位のバランスをとる能力は、より私たちの戦闘力を向上させてくれるでしょう」ともコメントしています。

デビスモンサン基地に到着したB-1B(Image:USAF)
ポーランド空軍のF-16と飛ぶB-1B(Image:USAF)

 今回17機が退役することにより、アメリカ空軍が実戦状態で保有するB-1Bは、62機から45機に減少することに。デビスモンサン基地に移動した退役機のうち、状態の良い4機については「タイプ2000」と呼ばれる休眠(モスボール)状態に置かれることになっています。

<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)