ボーイングの国際宇宙ステーション用有人宇宙船、CST-100「スターライナー」の第2回試験飛行が、2021年4月2日以降に実施されることがボーイングとNASAから発表されました。前回は宇宙船の飛行プログラムに不具合があり、国際宇宙ステーションへ向かうことができませんでしたが、再度無人で国際宇宙ステーションを目指します。

 ボーイングの有人宇宙船CST-100「スターライナー」は、スペースXの「クルードラゴン」と同じく、国際宇宙ステーションへ人員を運ぶNASA「コマーシャル・クルー」計画で使用される宇宙船。ULAのアトラスVロケットで打ち上げられます。

 有人宇宙船は宇宙空間での宇宙船の機能や、国際宇宙ステーションへのドッキングをチェックするため、まず無人での飛行試験が実施されます。スターライナーの第1回無人飛行試験(OFT-1)は2019年12月に実施され、ケネディ宇宙センターに隣接するケープカナベラル基地からアトラスVロケットで打ち上げられました。

スターライナーOFT-1の打ち上げ(Image:NASA)

 ロケットの飛行は順調に進み、宇宙船が無事切り離されて打ち上げは成功。しかし、宇宙船の飛行プログラムに不具合が発生し、加速して国際宇宙ステーションへ向かうことはできませんでした。

 このため、予定を変更して国際宇宙ステーションへのドッキングは中止。ドッキングと離脱に関する試験はできませんでしたが、それ以外の宇宙船としての機能確認を実施し、ニューメキシコ州のホワイトサンズミサイル実験場へ無事帰還しました。

ホワイトサンズに帰還したスターライナー(Image:NASA)

 ボーイングとNASAは、共同で宇宙船本体の調査と飛行データの解析を実施。不具合の原因を特定し、必要な対策を講じました。

着陸したCST-100スターライナーをチェックする関係者(Image:NASA)
ケネディ宇宙センターで試験後のデータ解析に供されるボーイングCST-100スターライナー(Image:NASA)

 国際宇宙ステーションへ向かう無人の第2回飛行試験(OFT-2)は、2020年12月の時点では2021年3月末の打ち上げを目指すとしていました。しかし打ち上げ前の準備状況を考慮した結果、4月2日以降に打ち上げることにした、と2月17日(現地時間)に発表しました。

CST-100スターライナー(Image:Boeing)

 NASAのコマーシャル・クルー計画におけるプログラム・マネージャ、シティーブ・スティッチ氏は「NASAは2021年最初のミッションに向け、ボーイングと一緒に取り組んでいます。国際宇宙ステーションへ向かう無人飛行試験は、この後に控える有人ミッションへの重要なマイルストーンです。準備ができ次第、打ち上げに移ります」とのコメントを発表しました。

 この決定を受け、ボーイングのスターライナー計画を統括するジョン・ヴォルマー副社長は「NASAが打ち上げ前に行っている重要な仕事に感謝しています。ボーイングは、宇宙船の信頼性を確保するためNASAが取り組んでいる検証プロセスに対し、全面的に協力していきます」とのコメントを発表しています。

CST-100スターライナーのドッキングポート(Image:Boeing)

 現時点での進行状況は、宇宙船の制御ソフトについては検証が終了していますが、宇宙船と地上支援機器におけるハードウェア面の検証が残っており、全体では95%の段階だといいます。

スターライナーの訓練を受ける宇宙飛行士(Image:Boeing)

 この無人飛行試験と並行して、初めての有人飛行試験(Crewed Flight Test=CFT)に向けての準備も進められています。無人飛行試験が成功すれば、2021年後半にバリー・“ブッチ”・ウィルモア宇宙飛行士、マイク・フィンケ宇宙飛行士、ニコール・マン宇宙飛行士の3名が乗り、国際宇宙ステーションへ向かう予定です。

<出典・引用>
NASA ニュースリリース
ボーイング ニュースリリース
Image:Boeing/NASA

(咲村珠樹)