二十四節気の中でも、立春・立夏・立秋・立冬といった季節の節目にあたる節気のうち、その前日のことを指す「節分」。現在は「立春」の前日にあたる「立春前の節分」が、世間に広く浸透しています。

 2021年は、124年ぶりにゾロ目の2月2日が節分にあたるという“メモリアルイヤー”。コロナ禍の中でも、各地で豆まきが行われ、夜の食卓では、恵方巻きを方位に合わせて頬張る方も多いのでは。

 さてそんな節分、実は豆や恵方巻きとはまた違う、とあるものを食べる風習もあるんです。

 「2月2日の『#節分』は1897年以来124年ぶり。
 『#立春』が2月3日となるのは37年ぶり。
 それはそうと皆さん、節分にそばを食べる『#節分そば』はご存知ですか?
 旧暦の二十四節季において新年は『立春』であり、その前日である節分の日を年越しとして考え、そばを食べていた。
 YOU、手繰っちゃう?」

 Twitterでの制限文字数140字を目一杯使って投稿したのは、新潟県十日町市において「妻有そば」などの乾麺を製造・販売している「玉垣製麺所」の公式Twitter。一体どんな内容かというと「節分にそばを食べてください」という意の「つぶやき」。

 「節分にそば?毎月の晦日の『そばの日』と混同しているんじゃ?」と思われた方もいるかもしれませんが、これはこじつけではなくれっきとした風習。

 冒頭にも述べた通り、節分というのは「立春・立夏・立秋・立冬」の前日を指す日なのですが、これはすなわち季「節」を「分」ける日。そして、この日は古くからめでたい日といわれ、江戸時代にはそばを食べる習慣がありました。

 さらにいうと、立春前の節分に関しては「冬から春に変わる日」ということで、1年を「春夏秋冬」として見ていた当時としては「年が変わる日」という扱い。というわけで、この日に食べる「節分そば」は「年越しそば」でもありました。お正月のことを「初春」や「新春」、年賀状の賀詞に「迎春」や「頌春」と「春」のつく言葉が使われているのは、春が1年の始まりという考え方を反映したものなのです。

 ちなみに、なぜ現在12月31日に食べるそばを「年越しそば」かというと、これは1872年に、当時の明治政府がそれまで使用していた旧暦(太陰太陽暦)を廃止し、現在のグレゴリオ暦へ改暦を行ったことにより、1年を1月1日から12月31日の365日(閏年は366日)として見るようになったため。

 これにより、12月31日が大晦日となり、毎月末に食べられていた「晦日そば」が転じて「年越しそば」を食べる風習となりました。日本麺業団体連合会が制定した毎月30日の「そばの日」は、この晦日そばに範をとったものです。

 とはいえ、これはまだ150年も経っていない“浅い”歴史。元来は、大寒から立春にかける日が「年越し」であり、現代日本でも、入学式や入社式に、プロ野球やJリーグ開幕など「春」を“年始”とする風習は今なお残っています。ひょっとすると、日本人のDNA的に伝承されているのかもしれませんね。

 最近ではスーパーなどでも、恵方巻きに続いて「節分そば」を取り上げることが増えてきました。なお余談ですが、“元”「年越しそば」こと「節分そば」ですが、使用する具材や、食べる時間に指定はなく、各々の好きなものを食べて差し支えありません。

 2021年の残りの節分は、5月4日(立夏前)、8月6日(立秋前)、11月6日(立冬前)。また、江戸時代には雛人形を納める3月4日の雛納めに、そばを雛人形に供える「雛そば」という風習もありました。その日の食事は、季節に合わせたおそばも風流かも?

<記事化協力>
玉垣製麺所【公式】さん(Twitter/Instagram:@tsumarisoba)
株式会社玉垣製麺所(https://www.tsumarisoba.co.jp/)

(向山純平)