ボーイングとNASAは2019年11月21日(現地時間)に、ボーイングの新しい有人宇宙船CST-100スターライナーが無人の試験打ち上げへ向け、ロケットとの結合作業を完了したと発表しました。打ち上げは12月17日を予定しています。

 ボーイングCST-100スターライナーは、国際宇宙ステーションへの人員を運ぶ、最大7人乗りの民間宇宙船。NASAは今後、国際宇宙ステーションへの人員輸送は、このCST-100スターライナーと、スペースXのクルードラゴンで行うことにしています。

 先だって行われた着陸試験と、打ち上げ時の脱出装置試験を受け、次のステップとして無人の宇宙船を実際に宇宙へ送る試験を行うことになりました。この試験では、軌道上で宇宙船としての機能確認と国際宇宙ステーションへのドッキング試験、そして大気圏再突入に関する試験を行います。

 無人飛行試験に供される宇宙船は10月に完成し、およそ1か月にわたって最終試験をケネディ宇宙センターで行いました。そして11月21日、打ち上げ地であるフロリダ州のケネディ宇宙センターに隣接する、ケープカナベラル空軍基地へとやってきたのです。

 ケネディ宇宙センターからCST-100スターライナーを送り出す「ロールアウト・セレモニー」には、ケネディ宇宙センターのディレクター、ボブ・カバナ氏のほか、スターライナーに搭乗予定の宇宙飛行士も出席し、宇宙船の門出を祝っています。

 カバナ氏は「この瞬間は我が国の未来にとって、非常に重要なものです。宇宙飛行士をアメリカのロケットで、アメリカの地から宇宙へ旅立たせる。これは大きな前進にほかなりません」と、この記念すべき瞬間についてコメントしています。

 ケープカナベラル空軍基地では、先行して第41番打ち上げ施設の垂直組み立て塔にアトラスV 551ロケットが据え付けられました。

 CST-100スターライナーは第41番打ち上げ施設に到着すると、すでに据え付けられたアトラスVロケットに結合されるべく、クレーンでロケット組み立て塔の上部へと運ばれます。

 ロケットの先端部へ、慎重に取り付けられるスターライナー。結合されると、ロケットの全長は約52mになります。

 作業を終えたことを受け、ボーイングのスターライナー担当副社長、ジョン・マルホランド氏は「私たちのクルーは無事に宇宙船を輸送し、2つの素晴らしい乗り物(宇宙船とロケット)を結合させました。段階ごとに安全な作業を行い、完了させてくれたクルーを、私は誇らずにはいられません」とコメントを発表しました。

 打ち上げは12月17日の予定。この2日前となる15日に、ロケットはこの組み立て塔から約3.2km離れた発射台へと移動することになっています。

<出典・引用> NASA プレスリリース
ボーイング プレスリリース
Image:NASA/Boeing/ULA

(咲村珠樹)