卒業以来ほとんど交流のなかったクラスメイトから、久々の連絡。今どうしているのか、会ってみようかな……と思うけど、ちょっと待って。それって実はマルチ商法への誘いかも。何か不自然な「元クラスメイト」からの連絡に警鐘を鳴らすツイートが話題になっています。

 このツイートを行ったのは、パズドラや艦これ、ラブライブなどのパロディ絵(ファンアート)を描くのが趣味だという、ユッキーさん(@adhsseamfc1)。自身の体験を交えて、警鐘を鳴らしています。

 ユッキーさんは「いいかい学生さん 元クラスメイトのな、元クラスメイトからの久々の連絡には気をつけなよ 『俺は今幸せなんだ』『会ってもらいたい人がいる』とか言いだしたらマルチ商法に勧誘してくる合図だ そんな儲け話に乗ってはいけないよ 僕も3人くらいから誘われたけど、全員漏れなく借金まみれになってたよ」とツイート。

 続くツイートには「特に大学生から新社会人辺りはよく持ちかけられる事だ 『若いうちから人と違う事してガンガン稼ごうぜ!』みたいな やめとけやめとけ!」と注意すべきシチュエーションを例示しています。ユッキーさんに連絡をとってきた「3人」の末路にも言及されていますが、悲惨で具体的には書けないものの、お日様の下を堂々と歩けないような状態であることが書かれています。

 実は筆者も学校を卒業してしばらくしたある日、社会人になった部活の後輩からいきなり「紹介したい人がいるんですが、会ってもらえませんか?」と誘われたことがあります。久々の連絡で、一体なんだろうと思って会ってみると、東京は新宿にある、とある雑居ビルの1室に案内されました。

 そこで切り出された話が「センパイ、お金儲けしたくありませんか?」というもの。典型的なネットワークビジネス(マルチまがい商法)の勧誘でした。紹介したい人、というのも、そのネットワークビジネスにおける小隊長から中隊長、といった感じの立場にいる人物。

 人を紹介して商材を販売し、その人にも販売員となって別の人を紹介してもらう……という形で連鎖的に販売のネットワークを作っていく、これらの販売システムを俗にマルチ商法、法令に規定された名称で「連鎖販売取引」といい、特定商取引法第33条によって規制されています。

 このシステムを勧誘する際に、常套句として用いられるのが「人脈を作れる」とか「みんながwin-winの関係」というもの。しかしこれは間違っており、身の回りの人間関係を超えた、かなりの人数を集めないと自分の方へは収入が回りません。基本的にはトップのほか数人の幹部が、構成員の利益を吸い上げるような構図になっているのです。

 販売員を集めようと思っても、不特定多数の人間を個人が集めることには高いハードルがあります。そこでよく使われるのが、友人や元クラスメイト、同窓生など、自分と共通項のある人物を勧誘すること。しかしこれは自分の友人や知り合いを「売る」行為につながり、逆に沼に引きずり込むことで人間関係を壊してしまうのです。

 筆者の場合、数時間にわたって半ば軟禁状態になり、しつこく勧誘されましたが、別の約束があり、それに遅れるからと嘘をつき、その後輩とビルを出ることに成功しました。その際、後輩には「お前が金儲けをしたいのは自由だ。しかし周りの親しい人たちを甘言で誘い、巻き込むような方法はやめなさい。自分自身が責任の取れる形であれば、お前が成功しようが破滅しようが知ったことじゃない」と言い、それ以降、連絡はとっていません。

 このようなマルチ商法のほかにも、あやしげな新興宗教への勧誘など、しばらく没交渉だった知人から急に連絡があり、誘われるケースは様々なものがあります。今まで連絡してこなかった人が、急に親しげに声をかけてきたり、魅力ある誘いをかけてくるのは、何かほかの意図があるものだ、と思って警戒することを忘れないようにしたいものです。

<記事化協力>
ユッキーさん(@adhsseamfc1)

<参考>
消費者庁 特定商取引ガイド「連鎖販売取引

(咲村珠樹)