イスラエル南部のオブダ空軍基地で2019年11月3日(現地時間)、イスラエルが主催する恒例の国際共同訓練「ブルーフラッグ」が始まりました。今年はドイツ、アメリカ、イタリア、ギリシャが参加し、空対空戦闘や空対地攻撃の訓練を行います。

 国際共同訓練「ブルーフラッグ」は、毎年11月にイスラエルで開催される恒例のもの。参加国間の同盟と連携を確認する、イスラエルにとって大切な共同訓練です。今年はイスラエル空軍のF-35I“アディール”が初めて参加します。


 訓練が行われるオブダ空軍基地は、仮想敵飛行隊の第115“フライング・ドラゴン”飛行隊が所在する場所。イスラエル空軍で運用している様々な航空機があるため、整備面でも外国との共同訓練で使い勝手の良い基地だといえます。

 今回の共同訓練に参加している戦闘機は、F-15(イスラエル空軍)、F-16(アメリカ空軍・イスラエル空軍・ギリシャ空軍)、ユーロファイター(イタリア空軍・ドイツ空軍)、F-35I(イスラエル空軍)。異機種間での連携や戦闘訓練は、パイロットにとって貴重な経験となります。


 対地攻撃訓練で特徴的なのは、イスラエルの地形。盆地では平均海面より低い場所があり、高度計が海抜でマイナスの値を示してしまう場所もあるのです。もちろん、地表面を確認して飛行しているため、安全は確保されていますが、パイロットも最初は面食らうこともあるとか。

 実戦的な訓練では、仮想敵飛行隊が「ノーウェアランド(Nowhereland)」、訓練参加部隊が「ファルコンステート(Falconstate)」に分かれて戦闘訓練が行われます。シナリオは、ファルコンステートの水資源と鉱物資源を狙ってノーウェアランドが軍事行動をとり、ファルコンステートの安全が脅かされるというもの。


 イスラエル、ドイツ、アメリカ、イタリア、ギリシャの各訓練部隊は、ファルコンステートの危機を救うため、ノーウェアランドの戦力と交戦します。日本ではあまり意識されませんが、安全な水資源を巡っての紛争は世界各地で起きており、実はポピュラーなシナリオなのです。

 ドイツはこの「ブルーフラッグ」に毎回参加していますが、第二次大戦中にユダヤ人弾圧を行ったドイツが、ユダヤ国家として建国されたイスラエルと同盟国として共同訓練を行うということは、戦後における両国の関係が非常に良好であることの象徴といえます。

 国際共同訓練「ブルーフラッグ」は、11月14日まで実施される予定となっています。

<出典・引用>
イスラエル空軍 プレスリリース
ドイツ空軍 プレスリリース
アメリカ空軍 プレスリリース
Image:IAF/Luftwaffe/USAF

(咲村珠樹)