アメリカ海軍の最新型空母ジェラルド・R・フォード(CVN-78)が、2019年10月25日(現地時間)から洋上試験を再開したとアメリカ海軍が発表しました。今回は高速航行での旋回試験など、より実戦的な性能を確認する試験が主体です。

 バージニア州にあるニューポート・ニューズ造船所で、15か月間にわたるメンテナンスを終えたジェラルド・R・フォード。ニミッツ級に続く最新のジェラルド・R・フォード級空母の1番艦です。

 前回の洋上試験では、艦船としての基本的な性能確認が主体でしたが、今回はより実戦的な状況での性能を確認する試験が行われます。15か月間のメンテナンスで装備された戦闘システムや、改善されたスロットル・コントロールシステムなど、戦力化を視野に入れた改修がなされました。

 フォード艦長のJ.J.カミングス大佐は、出港にあたり「再び船を海に出すにあたって、乗組員たちはやる気に満ち溢れています。メンテナンス中の15か月間、訓練に励んだ彼らを誇りに思います。乗組員たちのエネルギーや熱意、気骨がこの船のポイントだと思っていますし、それが今回の試験成功に向けての原動力になってくれるでしょう」とコメントしています。

 洋上試験はバージニア州沖の大西洋上で実施されます。10月27日にはリチャード・V・スペンサー海軍長官が空母ジェラルド・R・フォードを訪れ、試験の様子を視察しています。

 スペンサー海軍長官は「海軍は、この世界一の船とともに様々な課題に取り組み、そしてそれは今後も続けられます。全ての人々が、フォードの素晴らしい能力を発揮し、戦力とするべく熱心に取り組んでいます。まだまだ先は長いのですが、この洋上試験は大きなマイルストーンです」とコメントを発表しています。

 10月29日には、今回のハイライトともいえる高速旋回試験が実施されました。高速で旋回を繰り返すS字運動を行い、艦の運動性と安定性を確認します。


 このような高速でのS字運動は、基本的に攻撃を受けた際の回避運動として行われることが多いのですが、限界時の特性を知っておくことは、荒天時に操艦する際の重要な予備知識ともなります。

 今後ジェラルド・R・フォードは、新しい着艦拘束装置を使用した航空機の発着艦試験や、戦闘システムの動作試験などを継続して行う予定です。

<出典・引用>
アメリカ海軍 プレスリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)