欧州宇宙機関(ESA)の太陽観測機「ソーラー・オービター」が、ドイツの施設で試験を終え、打ち上げへ向けての準備が整ったと2019年10月18日(現地時間)にESAが発表しました。この後、打ち上げ地であるアメリカ、フロリダ州のケープカナベラルへと送られる予定です。

 太陽観測機ソーラー・オービターは、太陽と太陽系の謎を解き明かすため、太陽の周りを周回して観測を行うもの。水星の公転軌道の内側、太陽まで4200万kmまで近づいて、太陽嵐を起こす強力なプラズマなどの観測を行います。

 エアバスが製造したこの観測機の大きさは、本体は2.5m×3.1m×2.7mで、総重量1800kg。左右に展開する太陽電池パネルは長さ18m(発電量180W)、4.4mのブームと各6.5mのアンテナを3本装備しています。


 太陽に接近して観測する目的では、NASAの「パーカー・ソーラー・プローブ」が2018年に打ち上げられていますが、それとも連携して観測を行なっていく予定になっています。

 太陽へ接近するため、観測機器は非常に高い温度にさらされます。軌道から計算される最高温度は、摂氏約500度。逆に日陰となる反対面は摂氏マイナス180度という超低温。表と裏で700度近い温度が生じるという過酷な環境です。

 太陽の熱から観測機器を守るため、ソーラー・オービターの太陽面には、摂氏520度まで耐えられる耐熱シールドが取り付けられ、観測機器はその後ろに配置されています。観測機器自体も、摂氏300度程度までは問題なく動作するように設計されているんだとか。

 ESAの科学ディレクター、ギュンター・ハシンガー氏は「ソーラー・オービターは、私たちの星に関する大きな科学的疑問の答えをもたらしてくれるでしょう。そしてその観測データは、宇宙気象(太陽風や太陽嵐など)からいかに地球を守るか、というチャレンジに対しても有用なものです」と語っています。

 完成試験が終了し、打ち上げ準備が整ったソーラー・オービターは、10月31日にアントノフの大型輸送機でアメリカへ向けて飛び立ちます。打ち上げはNASAのアトラスV411ロケットで、2020年9月6日(世界標準時)にフロリダ州ケープカナベラルから行われる予定です。

<出典・引用>
欧州宇宙機関(ESA) プレスリリース
エアバス プレスリリース
Image:Airbus/ESA

(咲村珠樹)