アメリカ南方軍は2019年7月21日(アメリカ東部時間)、電子情報収集機EP-3が7月19日に任務で公海上を飛行中、ベネズエラ空軍のSu-30戦闘機からスクランブルを受け「プロとは言いがたいマナー」で異常接近されたと発表しました。

 EP-3は、哨戒機P-3をベースにし、レーダーに使用している周波数の特定や、音声やデータ通信の内容など、各種電子情報を収集する航空機。海上自衛隊も保有しており、岩国航空基地を拠点に運用されています。アメリカ海軍ではVQ-1「ワールド・ウォッチャーズ」でEP-3E“アリエスII”を運用し、世界各地に展開して任務を行っていますが、任務の性格上、その動きは厳重に秘匿されています。

 事態が発生したのは7月19日。この日もEP-3Eは、通常任務(アメリカおよび同盟各国の安全保障に資する電子情報収集活動)として、中南米周辺の公海上を飛行していました。そこにベネズエラ空軍のSu-30戦闘機がスクランブル発進。EP-3Eに接近しました。

 公開された4本の映像によると、かなり至近距離まで接近したSu-30が真横に占位する様子や、周りをぐるりと回り込む様子が確認できます。窓枠が写り込む場面もあるので、近くまで接近しているようです。

 アメリカ軍はこれらの飛行に対し「プロとは言いがたいマナー」であると糾弾しています。

 ベネズエラではマドゥロ大統領が強権支配し、アメリカなどが経済制裁を続ける中、ロシアと接近する動きが目立っています。ロシアからTu-160爆撃機が飛来するなど、その動きは明らかで、アメリカ軍は今回のSu-30の動きに関しても「ロシアの無責任な軍事サポートによって、ベネズエラが周辺各国に脅威を与えている証拠だ」と断定しています。

<出典・引用>
アメリカ南方軍 プレスリリース
Image:USSOUTHCOM

(咲村珠樹)