【特撮映像館】Act.93 五条霊戦記「特撮映像館」、今回は石井聰亙監督の『五条霊戦記』です。弁慶の力強い描き方を堪能してください。

平安末期、五条橋に現れ人を襲っている鬼を退治するべく修行中の弁慶は鬼斬丸という刀を無断で持ち出し山を降りる。


そして五条橋で鬼と対峙した弁慶はそれが人だとわかると刀を抜けない。鬼と呼ばれ畏れられていたのはのちに義経を名乗ろうという源の遮那王であり、弁慶の放つ人並みはずれた気を感じ取っていた。

本作はSF時代劇であり特撮的な作品ではあるが、あえてそういった要素を抑えている印象だ。ことに弁慶が遮那王の潜む「逢魔が森」に入っていくシーンでもサイキックな戦いがあるにもかかわらず映像的には通常の撮影テクニックで仕上げている。

監督の石井聰亙は原案のほか脚本にも名を連ねている。また特殊造形には原口智生、宗理起也がクレジットされている。

一般的な弁慶と義経(牛若丸)のイメージを逆転させて、鬼と呼ばれる義経を弁慶が倒そうとするところが味噌となるだろうが、弁慶と義経のあいだにサイキックな闘争を絡めているのが面白い。またそのサイキックな闘争を描くのも通常の撮影テクニックでおさめているのもこの作品では好感がもてる。逆に言えば特撮や特殊造形がでしゃばらない映画といえばいいだろうか。怪獣や異形の怪物が登場しない作品であればこのように特撮が目立たない、映画を引き立てるものとしてあるのが本来だろう。

本編は137分。2時間を越えるもので内容的にもじっくりと鑑賞したい作品だ。

監督/石井聰亙
キャスト/浅野忠信、永瀬正敏、隆 大介、岸辺一徳、勅使河原三郎、國村 隼、細山田隆人、ほか。
2000年/137分/日本

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/